長かったツール・ド・フランスもこれでいよいよ最後。第21ステージは、シャトウをスタートしてヴェルサイユ宮殿を通過、パリ・シャンゼリゼ周回コースを9周回ってゴールするおなじみの最終ステージ。
スタートからシャンゼリゼに入るまでは、いつものようにずっとパレードランが繰り広げられるのだが、総合優勝を飾った選手が属するチームが選手にシャンパンをふるまうシーンは、チームがUAE所属でスポンサーがエミレーツ航空のために今年は無し。今後もアラブの産油国がチームのオーナーになる傾向は続きそうで、シャンパンシーンも無くなってしまうのだろうか。
シャンゼリゼに入ってすぐにアタックが始まるのが恒例なのだが、今年は何故か1周目のゴール地点はUAEチームエミレーツの選手が横一線に並んで通過、そこからようやくアタックが開始される。
何度か離合集散が行われた後に、スウェニー、ビッセガー、ピーダスンの3人による逃げが決まり、一時は30秒の差をつける事に成功するが、残り40kmとなるゴール通過地点に設けられたスプリントポイントで、カヴェンディッシュがメイン集団の中から先着、この先行争いで逃げ集団とのタイム差が一気に縮まり、残り32km地点で吸収されてしまう。
一団となったメイン集団から、スヘリンフ、ヴァルグレン、ファンムールがカウンターアタックで飛び出すが、集団に対してせいぜい20秒の差を付けるのがやっとで、最終周回でやはりいつものように吸収され、いよいよ勝負は集団スプリントに。
ルーブル美術館のトンネルを超えて。工事のために車線の半分が閉鎖中で狭くなったリヴォリ通りを、カヴェンディッシュ擁するドゥクーニンク・クイックステップがトレインを組んで盤石に見えたが、残り1kmで別のチームに被せられてトレインが崩壊、ユンボ・ウィズマのテウニッセンが先頭に立ってシャンゼリゼに突入する。
アシストが居なくなってしまったカヴェンディッシュは、仕方なくファンアールトの番手にポジションを取るが、ファンアールトはフェンスに寄って走っているため、カヴェンディッシュが抜け出すスペースが無い。そして残り200mでファンアールトがスパート、カヴェンディッシュも追撃を仕掛けるが距離が足らず、そのままファンアールトが先頭でゴール。
これでファンアールトは今年のツール・ド・フランスで3勝目、しかもモン・ヴァントゥ、個人タイムトライアル、そしてシャンゼリゼという全く性質が異なるステージを制する快挙を達成した。ゴール後はハンドルバーを叩いて悔しがったカヴェンディッシュは結局3位で、ツール・ド・フランスのステージ最多勝記録はお預け。しかしポイント賞のマイヨヴェールはしっかり獲得。
そして総合優勝を決めたポガチャルは集団の中でチームメイトに守られながらゴール。マイヨ・ジョーヌだけでなく、山岳賞、そしてヤングライダー賞も獲得する3冠に輝いた。2位は、ログリッチのリタイアによってエース格に格上げされたヴィンゲゴー。3位はカラパスが入り、表彰台に立った。
とにかくポガチャルの強さばかりが際立った今年のツールだったが、おそらくヴィンゲゴーはエースとして来年は参加するだろうし、体調不良から復活してジロ・デ・イタリアを制したエガン・ベルナルも強力なライバルになるはず。そしてファンアールトが今後はステージレーサーとしてグランツールを狙いに来るのかどうか。来年もまた楽しみなツールになりそうだ。