最近の10試合で勝利が無い名古屋は3バックから4-2-3-1にフォーメーションを変更、川崎は大島が怪我で欠場、ボランチの一角に山村が入った4-2-3-1と、ほぼミラーゲームのようにマッチアップした対戦となった。
試合を見始めるとすぐに、名古屋の問題点が分かってしまった。マイボールになるとショートパスで繋いで行くのはいいが、ボールと選手が動いているのは半径10mの中だけで、前線や逆サイドは完全に足が止まってしまっている。この状態でジョーにパスを出しても、相手がきっちりマークに付いて待ち構えている状態なので、まずジョーにまだボールが渡らない。これでは点が取れないのも当たり前だ。
しかし、現在首位と勝ち点6差で2位に付けている川崎も、最近の2試合で勝ちが無いだけあって内容がパッとしない。好調時であれば、中盤でボールを持ったら周りがどんどんボールを追い越してパスコースを作るのに、この試合は各選手の動き出しが鈍く、普段なら繋がるパスがことごとくミスになってしまう。
そんな展開の中で先手を取ったのは名古屋、前半11分にCKからのこぼれ球を吉田がシュート、これが和泉の体に当たってコースが代わり、川崎GKチョン・ソンリョンも反応できずゴール。これで突然名古屋の動きが良くなり、18分にはシャビエルのターンからボールを受けた和泉が今度はカットインから自分のシュートでゴールを決めて、あっという間に名古屋が2点目。
川崎もこれで目が覚めたかのように、攻め急ぎをやめて中盤でじっくりパスを回してポゼッションを握り、守備時は4-4-2でコンパクトなゾーンを作る名古屋の隙を狙う形に切り替えようとするが、名古屋も人数をかけたカウンターで応酬、前半を2-0のままで折り返す。
後半から川崎は右SHの脇坂に代えて斎藤を同じポジションで投入、徹底的にセカンドボールを拾って連続攻撃を仕掛けるも、名古屋GKランゲラクが紙一重のセービングで凌ぐ。そして後半14分に川崎は山村を下げてレアンドロ・ダミアンを入れて中盤ダイアモンドの4-4-2へと変更する。
しかし名古屋は川崎に負けじと中盤で丁寧にボールを繋ぐ攻撃を展開、後半19分に左サイドを吉田が上手く抜け出し、折返しを前だが巧みなトラップからシュートを決めて3点目。
これでイライラが募ったのか、後半35分に右サイドで斎藤がファールをしたシーンで、吉田と斎藤が揉めているところに谷口が突っ込んできて突き飛ばし、2枚目のイエローで退場してしまう。川崎は後半39分に右サイドを抜け出した家長からのクロスを登里が合わせるも、ゴールライン上で中谷と藤井に阻まれてしまう。そして5分のロスタイムもスコアは動かず試合終了。
名古屋の勝因としては、何よりも早い時間帯で2点目を決める事が出来、落ち着いて試合を運ぶ事が出来たのが大きいが、それをもたらしたのはやはり名古屋の気迫だった。ジョー、シャビエル、シミッチといったチームの柱も動きが戻って来て、豊田スタジアムに詰めかけた満員のサポーターの後押しが大きかった。
逆に川崎はターンオーバーを試みたもののあまり機能せず。トゥーロンで大活躍した田中碧は、まだ大島や中村憲剛の域には達しておらず、良い縦パスはあったがトータルでのゲームメイク能力には課題を残したと言える。今節は首位のFC東京が勝利して一歩抜け出した形になったが、さて川崎はここからどう立て直すか。