獲得標高差5400m、今大会で最も困難なクイーンステージとなった、アルプス・モンブランの山岳を駆け抜ける第17ステージ。
まずは山岳賞争いを繰り広げているチッコーネとパウレスが集団から飛び出し、後続も次々と追従するが、サイモン・イェーツやビルバオなら総合上位の選手が混じっているためメイン集団を牽引するユンボ・ヴィズマは逃げを許さず、全体がハイペースで展開する。この中で、何とポガチャルが集団の中で単独落車。すぐに復帰はしたが不吉な空気が漂い始める。
最初1級山岳セジー峠ではチッコーネがトップで通過、山岳10ポイントを加算。下りでチッコーネとアラフィリップがアタックを仕掛け、次の1級山岳コルメット・デ・ローゼレンドで追走集団が追いつき、メイン集団は根負けして少しペースダウン、ようやく34人の逃げが成立する。そして頂上ではチッコーネが先頭、その次の2級山岳コート・ド・ロンジュフォワでもトップ通過、パウレスが逃げから脱落したため合計88ポイントで山岳賞を独走する。
そしてラストの超級山岳ロゼ峠の麓で、先頭集団とメイン集団の差は2分30秒。先頭からはチッコーネが遅れ始め、AG2Rチームのベン・オコーナーとフェリックス・ガルが集団を牽引する。メイン集団では何と残り15km地点でポガチャルが遅れ始め、アシストのソレルがすぐにフォローして引っ張るも一向にペースが上がらない。
当然、ここでヴィンゲゴーはアシストのクスに引かせてメイン集団をペースアップ、逃げ集団から降りてきたベノートに引き渡してハイペースを持続すると、総合4位のカルロス・ロドリゲス、さらに3位のアダム・イェーツも遅れ始める。
先頭集団では残り6km地点でガルが単独でアタック、サイモン・イェーツやハーパー、マイカが追走するがジリジリと差が広がっていき、ロゼ峠の頂上をトップで通過。ヴィンゲゴーは残り8km地点で1人になって、ガルから1分30秒遅れで通過。ポガチャルはこの時点でヴィンゲゴーから5分以上の遅れ。
ガルはテクニカルな下りをものともせずペースを落とさずに走りきり、見事クイーンステージで優勝。ヴィンゲゴーは1分52秒差で4位でゴール。結局最後までソレルに引っ張ってもらったポガチャルは7分37秒遅れでよたよたゴール。これでヴィンゲゴーとの総合タイム差は7分35秒となり、事実上のゲームオーバー。ツール史上稀に見る両ライバルによるデッドヒートは、あっけない形で幕切れとなってしまった。
第18・19ステージは、最後の勝負どころであるヴォージュ山地へ移動する平坦リエゾンステージ。この1週間で苦渋を舐め続けたスプリンターたちの出番がようやくやって来るわけだが、各選手に疲労が溜まっているだけに、思わぬ逃げが成功するかもしれない。序盤の展開がキモになりそうだ。