「今年のツールは休む暇さえ与えてもらえない」ツール・ド・フランス2023 第18・19ステージ

スポンサーリンク

第18ステージはほぼ完全な平坦ステージで、ほとんどの人がスプリンター勢の争いで勝負が決まると思われたのだが、まさかの結末になってしまった。

スタートからまずアスグリーン、追従してカンペナールツ、アブラハムセンの3名による逃げが決まり、2つ目の4級山岳の上りで山岳賞のチッコーネを含む5人の選手が追撃する。遅れてパスカル・エインコールンがメイン集団から抜け出そうとしたところで、フィリップセンが遮るように近寄り、言葉をかけて動きを一度は制する。

この場面は、後でマスコミの物議を醸す事になったのだが、実は「今日はスプリントに持ち込みたいので、逃げるなら明日にしてくれない?」と頼んだらしい。しかしエインコールンは再度集団からアタック、そのまま30秒先の逃げグループに追いついた。

これで逃げ集団に勢いが戻り、残り50km地点でメイン集団とは1分の差になるが、自転車レースでは追いつく限界は1kmで10分と言われているので、まだまだメイン集団には余裕があると思われた。

そして残り10kmでの差は22秒、5kmで10秒と着実に詰めるメイン集団。しかし先頭ではカンペナールツがエインコールンのために献身的な牽引で最後まで諦めない。そして助けを受けた残りの3人はゴール地点まで生き残り、スプリントをアスグリーンが制して嬉しいツールのステージ初優勝。

そしてわずか2~3秒の遅れでメイン集団がゴール、その中のスプリントではフィリップセンがトップでゴール、マイヨ・ヴェール争いでまたポイントを積み重ねた。総合争いでは全く動きはなく、ヴィンゲゴーとポガチャルはメイン集団の中でゴールした。

第19ステージは、平坦ながらも終盤にジュラ山脈の3級山岳イヴォリ峠が待ち受け、昨日以上に逃げが決まりやすいコースレイアウト。

レースはスタートから当然逃げの打ち合いで、ベテランのペーター・サガンが単独でアタックする場面もあったが決まらず、30km以上も経過してようやくカンペナールツやアラフィリップを含む9人の逃げが決まって、一旦はメイン集団もペースを落とす。

が、逃げでの勝利を狙うチームにとっては諦められないようで、再びメイン集団からアタックが繰り広げられ、最終的にマチュー・ファンデルプールやフィリップセン、ピーダスン、フルーネウェーヘンら、主要なスプリンターを含む36人もの追走集団が形成されて、ようやくメイン集団はペースダウンする。

先頭集団では残り60km地点でカンペナールツがサイモン・クラークとともにアタックを仕掛けるが長続きせず、逆に残り30km地点となる勝負どころのイヴォリ峠で、オコナー、モホリッチ、そして昨日のステージ優勝者であるアスグリーンがアタック、残った6人は追走集団に吸収される。

追走集団ではファンデルプールやツィンマーマンがペースアップしてさらに分裂、フィリップセンやピーダスンらが加わり7人の強力なメンバーが揃うものの、先頭の3人とは30秒の差からなかなか詰めることが出来ない。

ラスト8kmは完全な直線コースという、逃げには不向きのレイアウトだったが、先頭の3人は後続に40秒の差をつけてゴールスプリント、オコナーが早駆けするも2人が追いつき、最後はアスグリーンとモホリッチの写真判定になったが、自転車を投げ出すタイミングの差でモホリッチがステージ優勝を飾った。

38秒遅れてやって来た追走集団では、スプリントでフィリップセンが先頭で入って4位でのフィニッシュ。メイン集団は結局14分近く遅れてゴールした。

今日の第20ステージは、終盤に1級山岳プチ・バロン、プラツァーヴァーゼルが連続して続くヴォージュ山脈を走り抜ける最終決戦。マイヨ・ジョーヌ争いは揺るがないだろうが、アダム・イェーツから5位のビルバオまで2分しかない表彰台争いが地味に熱く、山岳賞もガルが猛追してチッコーネと6ポイント差と、まだまだ予断を許さない。

タイトルとURLをコピーしました