「ポガチャルがジワジワとヴィンゲゴーを追い詰める」ツール・ド・フランス2023 第8・9ステージ

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第8ステージは、リブルヌからリモージュへ抜ける、中央山塊までのリエゾンステージ。しかし後半は細かいアップダウンが続き、ラストは4%の緩斜面のスプリントが待ち受ける、パンチャーにも可能性があるコース。

となると、レースは序盤からエスケープを画策する選手が多数入り乱れ、ようやく20kmを超えたあたりでティム・デクレルク、アントニー・ドゥラプラス、アントニー・テュルジスの3人による逃げが決まる。中間スプリントではメイン集団をトップで通過したフィリップセンが5ポイントを獲得してマイヨ・ヴェール固め。

対象的に、残り60kmを過ぎたところで集団内で落車が発生、なんとマーク・カヴェンディッシュが起き上がれず、すぐに救護車に乗ってリタイア。ツール・ド・フランスで有終の美を飾るはずが、あっけなく終了してしまった・・・

そして残り8kmの地点で、メイン集団は最後まで粘っていたテュルジスを吸収。意外にもスプリンターが脱落せずに残っていたので、ピーダスン擁するリドル・トレックチームが牽引しながらラストスプリント。

残り300mでファンアールトを牽引するラポルトが先頭に立つが途中で息切れ、右からピーダスンが早めのアタックを仕掛けるとファンアールトの反応が遅れ、左からフィリップセンが捲りに入る。が、フィリップセンの伸びが足りずファンアールトが猛追するが時すでに遅し、ピーダスンが逃げ切って今大会初勝利。

そして第9ステージは、サン・レオナール・ド・ノブラをスタートし、3級と4級の軽い山岳をこなした後、35年ぶりとなる伝説の超級山岳、ピュイ・ド・ドームをゴールとする勝負どころ。

レースはスタートから14人が逃げ出した後、メイン集団は前方で蓋をしてアタック合戦はここで終了の合図。そのまま逃げ集団はどんどんと差を広げて一時は12分以上の差をつける状態。逃げの中に入った山岳賞のパウレスは、今回も地道にポイント稼ぎ。

3級山岳ポントミュール峠の下りでマッテオ・ヨルゲンソンが1人で抜け出し後続と差を広げ、超級山岳ピュイ・ド・ドームに差し掛かった時点で1分の差を稼ぐ。そしてメイン集団はヨルゲンソンから15分後にピュイ・ド・ドームへ突入。

13kmの上りのうち、残り4kmが11%超えというツールにしては珍しい激坂で、さぞかし観客が凄いことになるかと思ったら、ピュイ・ド・ドームの頂上付近は自然公園に指定されて無観客。道路も普段は通行禁止で、アプト式の鉄道だけがアクセスする手段になっているらしい。

そんな無人の中を走るヨルゲンソンに対し、追走集団からマイケル・ウッズが飛び出すと、あっという間にヨルゲンソンに追いつき、残り500m地点で再スパート、そのままヨルゲンソンを置き去りにしてステージ優勝を飾った。

そしてメイン集団ではユンボ・ヴィズマの強力アシスト陣がハイペースを刻み、最後は5人の集団へと分解。総合3位のヒンドレーが遅れる。そしていつものようにラストアシストのセップ・クスがヴィンゲゴーを引っ張り、ポガチャルがマーク。

残り1.4kmでポガチャルが満を持してアタック、ヴィンゲゴーも粘って食い下がるがパワーの差でジリジリと引き離され、最後はポガチャルから8秒遅れてヴィンゲゴーがゴール。これで総合のタイム差は25秒から17秒にまで詰まった形になった。3位のヒンドレーは2分40秒差、これで完全にマイヨ・ジョーヌ争いは2人の一騎打ちに絞られた。

月曜日は1回目の休息日。翌日の火曜は、2級山岳が1つ、3級山岳が4つのアップダウンコース。いかにも逃げ屋向きのステージで、ここまであまり出番が無かったパンチャーの皆さんが大活躍しそうである。

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