J1開幕節で唯一の地上波放送のカードになったのが、埼玉スタジアムで行われた浦和レッズ対FC東京の試合。こちらも観客は最大5000人に限られた中での試合となった。
今シーズンからリカルド・ロドリゲス監督が率いる浦和は、4-4-2のフォーメーションでFWに明本、右SHに小泉、ボランチに伊藤敦と新加入選手3人を加えた布陣。東京は4-3-3のフォーメーションで、前線はディエゴ・オリヴェイラの1トップに、ウイングがレアンドロ山形から加入した渡邊が入った先発。
試合開始直後は東京が勢いを持って攻めに出て来たのだが、これまでの浦和であれば、個人がバラバラに対応して組織としてのまとまりが無かったところだが、今期はしっかり4-4のコンパクトなゾーンで固く守り、ボールを奪ったらサイドを中心に手数をかけず素早くパスを繋ぐ意識が垣間見える。
前半14分には、東京の縦パスを山中がカットし、ダイレクトで小泉、杉本と繋いでゴールを決めるが、VARでオフサイドと判定されノーゴールにはなったが、新しい浦和をサポーターにアピールするには十分な流れだった。
そういう攻撃の狙いは東京も同じで、どちらもサイドの攻防が激しくなってボールが行ったり来たりする忙しい時間がしばらく続くが、去年からの戦術の上積みがある分、東京のほうがポゼッションで優位に立つ流れになる。
しかし、浦和はここで新加入の小泉が東京の守備ゾーンの間に顔を出してボールを受け、明本が裏を狙って杉本がサイドに開いて仕掛けるなど、前線で攻撃のアクセントとなってリズムを取り戻す。41分にはダイレクトパスからポンポンと繋ぎ、最後は山中のクロスが合わなかったが、浦和の見事なカウンターであった。
後半は浦和にまずペースが傾く。中ではダイレクトでサイドチェンジ、サイドでは縦に仕掛けるタスクがハッキリしていて、東京はボールの奪いどころを設定出来ず対応が後手に回る。ここで東京は永井を投入、動きが無い前線にカンフル剤を入れる。
が、その後もポゼッションはガッチリと浦和が握り、東京は攻撃の緒をつかめない。すると後半29分、CKから頭でそらしたボールを槙野が足で合わせ、これは東京GK佐藤が弾いたが最後は阿部が押し込んで浦和が先制する。
その後も浦和が何度かチャンスを作るも決められないまま、後半40分に東京がゴールやや右からFKを得ると、三田のキックに頭1つ抜けた森重が頭でコースを変えてゴールイン、劣勢だった東京が同点に追いつく。後半ロスタイムには浦和のFKとCK、東京のカウンターと互いにチャンスはあったが得点は最後まで入らずそのまま1-1で試合終了。
浦和としては内容的に勝てた試合でもったいない結果だったが、リカルド・ロドリゲス監督の戦術ベースは想像以上にきっちり浸透していて、今後に大きな期待が持てる開幕戦だったのではないだろうか。
そして、この試合でサッカー以上に注目していたのが、中村憲剛氏の解説だったのだが、いやはや実況アナウンサーの2倍以上の言葉を喋っていたんではないかというぐらいの運動量だった(笑)。
中村憲剛の解説は、物凄く鋭い視点というわけじゃないんだけど、我々サッカーファンからすると既知過ぎて説明するのが面倒な暗黙知について、全部バカ正直に説明するんだよね。これは、サッカーにあまり詳しくない視聴者にとっては非常に役立つと思う。
— こばやしりょーじ (@gazfootballcom) February 27, 2021