「オルンガの驚異も跳ね除け、川崎が鮮やかな逆転劇で有終の美を飾る」J1第34節 柏レイソル-川崎フロンターレ

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新型コロナウイルス感染症のため、4ヶ月以上の中断を強いられた今年のJ1。7月4日の再開以来、リーグの中で大きなパンデミックを起こさず最終節まで完走できた事は、村井チェアマンを筆頭とするJリーグ機構、そして各クラブの非常な努力の賜だろう。

来年は仕切り直しの東京五輪がやって来るわけだが、国民感情的には中止すべきという声が大きいのも事実だが、やけっぱちの思考停止にならずファクトベースで開催の可能性を探る努力は続けるべきであり、その意味でもJリーグとプロ野球の完走という結果は心強いものがあるのではないかと思う。

さて、異例づくしで行われた今期のJ1にあって、まさに異例の強さで史上最速の優勝を飾った川崎フロンターレの最終節は、ダントツで得点王を決めたオルンガを擁する柏との対戦。

川崎は、今期で引退を決めた中村憲剛がベンチ外、4-3-3の3トップがレアンドロ・ダミアン、長谷川、齋藤という並びで、家長、三苫、谷口をサブにする余裕の選手起用。柏は4-4-2でオルンガと江坂の2トップ。

試合は当然のように川崎がボールを支配するが、前半14分に柏は自陣からのロングボールをクリスティアーノがつなぎ、浮いたボールに対して山根に競り勝ったオルンガが、川崎GKチョン・ソンリョンも交わして先制点を決める。

柏は自陣に3ラインのコンパクトなゾーンを引きつつ、長谷川、齋藤のSHには両SBがマンマークで付いてボールに触らせず、川崎の攻撃力をうまく封じ込めている。が、後半25分過ぎから川崎がSBも攻撃に絡むようになり攻撃がペースアップ、30分には田中碧がフリーでヘディングも柏GKキム・スンギュがファインセーブ。

後半から川崎は両ウイングを三苫と家長に代えてフルスロットルをかけるが、追加点は柏。後半開始10秒でクリスティアーノのパスから北爪が登里に競り勝ちシュート、ジェジウが必死のクリアもゴールライン際でオルンガがつなぎ、北爪のクロスを瀬川がダイレクトで押し込んでしまう。

しかし川崎も、後半3分に田中碧のCKにファーで家長がうまく相手の体を使ってヘディング、これがゴール右上に吸い込まれて1点差に詰め寄る。さらに柏は足が止まって前半のようなプレスがかからなくなり、圧倒的に川崎がボールを支配する流れ。

そして後半10分、キム・スンギュがPA外にボールを持ち出したところでキックを痛恨の空振り、軸足に当たったボールを拾った三苫からレアンドロ・ダミアンにパス、無人のゴールに蹴り込み川崎が同点に追いつく。

その後も川崎はほぼ柏陣内で攻撃を展開、柏はフォーメーションを5-4-1のような形に修正するも、カウンターがオルンガ1人だけではさすがに厳しい。後半28分には右サイドで水三苫が抜け出しシュートもキム・スンギュがなんとかセーブ。30分にはオルンガも下がってしまう。

すると後半36分、柏のパスミスからのカウンターで三苫が中央をドリブル、右に寄りながら左に開いた家長にスルーパス、これを家長が冷静に流し込み逆転。柏も後半45分に一発のロングボールから仲間がシュートもクロスバー、直後の古賀のシュートも外れるなど最後の逆襲も実らず、試合は結局2-3で試合終了、首位の川崎が貫禄の逆転勝ちでシーズンを締めくくった。

コロナ日程を物ともしない選手層の厚み、各選手の戦術に対する共通認識という点で、今期の川崎は他のチームとは一線を画する強さだったのは間違いない。来期は少しスケジュールに余裕が出るし、中村憲剛の引退によって、どれだけ川崎に付け入る隙が生まれるか。鹿島、名古屋、ガンバあたりに頑張ってもらって、来期は熱いJ1になって欲しいね。

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