首位のマンUが2位のアーセナルに対して勝ち点1、得失点差も1という状況で迎えた、プレミアリーグ最終節。対戦相手はスパーズだったが、マンUに勝つとライバルのアーセナルを優勝させてしまうかもしれないという微妙な空気のサポーター。
マンUはGKシュマイケル、CHにロイ・キーンとスコールズ、SHにベッカムとギグス、FWがドワイト・ヨークとシェリンガムの4-4-2、スパースはFKがイアン・ウォーカー、CBにソル・キャンベル、左SHにフランスの天才ダヴィド・ジノラが入った4-4-2。
試合はいきなり前半10分にジノラが怪我で退くアクシデント。その後もホームのマンUがペースを握り続ける展開だったが、25分にGKのフィードからイベルセンが競って流したボールにレス・ファーディナンドが抜け出し、上手くアウトサイドで浮かせたシュートを決め、スパーズがワンチャンスをものにする。
そこからは、焦りがあるのかマンUの攻撃にミスが多く、スパーズが何度かカウンターのチャンスを作るものの、33分にはマンUがスコールズのミドルなど立て続けに決定機もGKウォーカーがファインセーブ。
そしてこのまま前半終了かと思った44分に、スコールズが中盤でボールを奪うと、ギグス、スコールズ、右サイドのベッカムへと展開、ベッカムが右足を振り抜きアウトにかかったボールがゴール左に突き刺さり、マンUが同点に追いつく。
後半からアンディ・コールを投入すると、早速3分にギャリー・ネビルからの縦パスにコールが受け出し、足を上げたトラップからシュートを流し込み、アレックス・ファーガソン監督の采配が当たってマンUが逆転する。
その後は、アーセナルに優勝されたくないスパーズはあまり反撃の意思を見せず、試合はそのまま2-1で終了、マンUが2年ぶりにプレミアリーグ優勝を飾った。このシーズンのマンUは、FAカップと共に、チャンピオンズリーグを制した3冠を達成する事になった。
特にチャンピオンズリーグの決勝は、バイエルン相手に0-1のまま後半ロスタイムに突入、3分間の間に2点を決めて逆転勝利という、いわゆる「カンプ・ノウの奇跡」と呼ばれた伝説を作ったシーズンでもあった。
左にギグス、右にベッカムでドリブルとクロス、中はスコールズとキーンでミドル、前線はヨークとコールの絶妙なコンビネーションと決定力と、まさにどこからでも攻撃が出来る万能性、ファーガソン時代の第1次黄金期と呼べるチームだった。