「まずは王者ゲラント・トーマスが余裕のご挨拶、そして驚きのマイヨジョーヌ・マジック」ツール・ド・フランス2019 第6ステージ

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2級山岳が2つ、1級山岳が3つ、頂上ゴールのラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ峠は最大勾配24%というツール・ド・フランスではめったに見かけないぐらいの激坂で、しかもラスト100mはスキー場の未舗装路という過酷さ。総合争いに大きく動きが出るのは確実な注目のステージ。

レースは比較的すぐに逃げの集団が決まり、ロット・スーダルチームの逃げ屋トーマス・デヘント、今日も山岳ポイントを稼ぎに行くマイヨ・ア・ポワ・ルージュを着るウェレンス、1分43秒遅れで総合42位に付けているチッコーネというなかなか強力なメンバー。

集団はラストの峠に備えて体力温存なのか、逃げ集団はどんどん差を広げて行き、ウェレンスは2つの1級山岳をトップで通過して山岳ポイントを荒稼ぎ。残り55kmの1級山岳バロン・ダルザスの登りでモビスターチームが集団を牽引するようになったが、大きく差は縮まらず3分以上の差がついた状態で最後のラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユ峠に突入。

勝利の可能性が高くなった先頭集団では、ウェレンスらが遅れてチッコーネとトゥーンスの2人に絞られ、ゴール地点まで差がつかずに最後はゴールスプリント、自転車が止まりそうになったチッコーネを尻目にトゥーンスがしっかり激坂を登りきってステージ優勝。しかし負けたチッコーネも後で歓喜がやって来る事になる。

後続のメイン集団ではチームイネオスがハイペースで引っ張ってライバルをふるいにかける中、モビスターのランダがアタックを仕掛ける。ランダがあまり差を広げられないまま残り1kmに突入すると、マイヨジョーヌのアラフィリップが何とアタックを仕掛け、ランダを追い抜いて快調なペースでリードを広げる。

そしてメイン集団でのスプリント合戦が始まり、ここまで全く動きが無かったチームイネオスのエース、ゲラント・トーマスがライバルからリードを広げて抜け出し、結局先行していたアラフィリップを追い抜いて4位でフィニッシュ。アラフィリップとピノは2秒差でゴールし、キンタナ、フルサング、リッチー・ポート、エガン・ベルナルといったエースたちは10秒以内の差で収めたものの、ニバリ、バルギル、バルデらは40秒近いビハインドになってしまった。

マイヨジョーヌ争いは、途中でボーナスタイムを14秒稼いだ事によって、チッコーネがアラフィリップをわずか6秒差で逆転という結果に。しかしアラフィリップは失ったとは言えマイヨジョーヌ・マジックで驚きの頑張り、フランスも盛り上がった事だろう。そしてゲラント・トーマスは48秒差の5位に浮上した。マイヨ・ア・ポワ・ルージュはウェレンスが48ポイントで首位は変わらないが、チッコーネが30ポイントで追っており、ジロ山岳賞の実力を発揮、これから戦いが激しくなりそうである。

ひとまずディフェンディング・チャンピオンのゲラント・トーマスが今年の優勝候補筆頭だと名乗り出た格好になったが、思ったよりも優勝候補同士の差がつかず、戦国時代らしい展開になって来た。第7ステージはベルフォールからシャロン=シュル=ソーヌまで230kmの長丁場平坦ステージ。ピュアスプリンター向きのコースだが、頂上ゴール明けでペースを抑えたい集団を尻目に、虎視眈々と逃げ残りを狙う選手も出る展開になるだろう。

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