「乾で注目すべきは決勝点よりも、代表コーチに推薦したいぐらいの守備的戦術眼」リーガ・エスパニョーラ第26節 ビジャレアル-アラベス

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現在リーグ6位で、チャンピオンズリーグ圏内のヘタフェとは勝ち点2差に付けているアラベスは、降格圏に沈むビジャレアルとアウェイで対戦。

アラベスは4-4-2で乾は左SHとして先発したが、逆サイドのジョニーとしょっちゅうポジションを変えるので左右どちらか不明(笑)。対するビジャレアルは3-1-4-2のフォーメーション、2トップの一角にはかつて本田とミランでチームメイトだったカルロス・バッカが入っている。

試合はホームのビジャレアルが鋭い出足で攻勢に出て来るが、アラベスは相手DFがボールを持つと、カレリとジョニー、乾で3バックにプレスをかけ、WBのオーバーラップにはSBとSHのどちらかがきっちり付いてフリーにさせず、乾も自陣まで戻ってスライディングタックルを仕掛けるなど、全員の守備意識が非常に高い。

攻撃では、乾がシュートを打つような場面は無いものの、相手のアンカー脇に出来るスペースに乾が入って縦パスを受け、確実に味方につなげる基点として機能、ビジャレアルの圧力をきっちり押し戻してイーブンな状態に戻す役割を果たしている。

前半30分ごろからは、アラベスのDFラインが下がってビジャレアルに押し込まれ、アラベスもカウンターを狙うが中盤でミスが増えてセカンドボールを拾われる苦しい展開。しかし残り時間を何とかやり過ごし前半を折り返す。

後半の序盤はビジャレアルが完全にWBを高い位置に上げ、アラベスの4-4-ゾーンの外から攻める狙いを明確にする。それに対してアラベスはサイドは割り切って攻めさせ、中央を固めて跳ね返す形で対応、ボールを奪うと一気にWBの裏をロングボールで狙う攻撃を仕掛ける。

すると後半9分、アラベスはCKをゲットすると、ジョニーのキックにフリーで合わせたマリパンがヘディングゴールを決め、劣勢だったアラベスが先制点をゲットする。しかし13分、ビジャレアルのクロスをクリアしたボールが高く上がり、それに対してマヌ・ガルシアが手を使って弾いてしまい、VARでPKの判定。これをカソルラが決めて同点に。

その後はビジャレアルが勢いに乗り、一発のパスでDFラインを抜け出したエカンビのシュートはわずかポストの横という決定機を作る。さらにビジャレアルはサイドチェンジから徹底してクロスを浴びせかける。さらにビジャレアルは攻撃の選手を入れて4バックに変更、しかしこれが結果的には裏目に出てしまう。

後半33分、ロングパスに反応したジョニーが左サイドを突破、ドリブルで相手を抜いてからの折返しに、乾がダイレクトでロブ気味のシュートをゴール左に決めてアラベスが勝ち越し。直後にもカウンターからブルギがシュートもわずかに枠外。

乾は39分でワカソと交代、アラベスは守備固め。それでもビジャレアルに攻め込まれてあわやオウンゴールというピンチを作られるが、GKが何とか弾いて防ぐ。5分のロスタイムも最後まで守りきり、アラベスがアウェイで大きな勝利。裏の試合でヘタフェがベティスに勝利したため勝ち点は縮まらなかったが、アラベスは5位に浮上した。

これで乾が加入してからアラベスは負け無し。乾のプレイについては、決勝点を決めただけでなく守備での貢献が大きかった。上手くハーフスペースを埋めてドリブル、パス両方に対応できるポジショニングを取り、4-4-2の弱点であるサイドのスペースを開けるリスクを最小限にとどめていた。ベティスは乾をインサイドハーフで起用していたけど、守備面でもウイングとして使う利点が大きいことに気づくべきだ。

それにしても、乾は今の日本で最もゾーンディフェンスを理解している選手じゃないだろうか。カタール戦でもフォーメーションのミスマッチにいち早く気づいていたし、もし彼が先発していたらあそこまで前半がボロボロにはならなかったはず。森保監督は、乾をサブで腐らせておくぐらいなら守備コーチを兼任させてみればどうだろうか。

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