今週から始まったチャンピオンズリーグ決勝トーナメント。その中でも注目カードであるマンU対PSGの試合を見てみた。
ホームのマンUはラッシュフォードの1トップに、ウイングがマルシャルとリンガード、インサイドハーフがポグバとエレーラ、アンカーにマティッチを置いた4-3-3、エースのネイマールが怪我で欠場のPSGは、1トップがムバッペ、2列目にディ・マリア、ドラクスラー、ダニ・アウヴェスを並べた4-2-3-で臨む。1
試合は、互いにラインを上げてコンパクトな形を保つ中で、ワイドに展開してからの個人技、それに対する守備のデュエルが繰り返され、前半35分までに5枚のイエローカードが飛び交う激しい展開で始まる。
その中でポイントになっていたのが中盤の関係性。基本的には3対3のマッチアップになっていたのだが、マンUのほうはポグバが大きく動いて攻撃に絡む一方、そのせいでアンカーのマティッチが戻りきれない時にポッカリとスペースを作るスキがあるのに対し、PSGのヴェッラッティとマルキーニョスは上手くコンビでバランスを取って攻撃を封じ込めている。
マンUはラッシュフォードが左右に流れ、マルシャルやリンガードとの縦関係でサイドでの優位を図っているが、サイド一発だけでは無理があるため必ず中へとボールを戻すタイミングがあるのだが、そこをPSGのダブルボランチがしっかり網を張ってポグバを自由にさせていない。
さらにマンUは前半のうちにマルシャルが痛み、一度は復帰したものの後半からマタと交代、ロスタイムにリンガードが怪我でアレクシス・サンチェスと交代し、せっかくリズムを作れていたサイド攻撃が鳴りを潜めてしまう。
そんな中、先手を取ったのがPSG。後半8分にディ・マリアのCKでマティッチがキンペンベのマークを見失い、背後に回られてゴールを与えてしまう。さらに後半15分、オフサイドギリギリで抜け出したディ・マリアが中へ折り返すと、ムバッペが驚異的なスピードでDFを振り切って2点目を決める。
その後はマンUがボールを支配するものの、中央をしっかり固めるPSGに対し、サイドへ展開してはクロスという単調な攻めに終始、ポグバはしびれを切らして前線に上がりまくるがボールには絡めず。さらには後半43分に2枚目のイエローで退場と踏んだり蹴ったり。
後半ロスタイムも動き無く、そのままあっさりとマンUは無得点で試合終了、PSGがアウェイゴール2つを取って大きなアドバンテージを持った状態で、ホームでの第2戦に臨む事になった。
スールシャール監督は、それまでモウリーニョ監督の規律と戦術でがんじがらめになっていた選手を解き放ち、ある程度戦術を選手の裁量に任せた事で無敗の快進撃を実現したが、PSGのようにきっちりと相手を研究し、綿密な戦術プランを立てて来る相手には通用しなかった。と書くと、アジアカップ決勝のカタール戦と非常に類似している事が良く分かる。もちろんマンUが日本でカタールがPSGである事は言うまでもない。
今までは戦術的に何もしない事で勝てて来たマンUにとって最大のピンチ。ポグバもいない第2戦で、いったいマンUはどういうプランで臨んで来るのか、スールシャール監督の真価が問われる試合になるのは間違いない。