休養日明けの第11ステージは、フランス南西部のトゥールーズを発着するコース。終盤の3級山岳は最大勾配20%の激坂、翌日は山岳ステージとあってパンチャーが勝利を狙いやすいステージ。
スタートからアブラハムセンが飛び出し、すぐに3人の逃げが形成されるスタート。メイン集団はなかなか落ち着かず、ステージの半分を超えたあたりで逃げ集団が5人になり、さらに19人の追走集団が出来る目まぐるしい展開。
先頭の5人からアブラハムセンとシュミットが抜け出し、追走集団からはファンデルプールが単独でアタック、2人に追いつくべくプッシュするがなかなか差が縮まらない。すると残り5kmで何とポガチャルが落車、しかし幸いにもダメージは少ないようで、メイン集団もポガチャルを待つ紳士協定を発揮。
結局ファンデルプールは2人に7秒差まで迫ったが追いつけず、2人のスプリントはアブラハムセンが制してステージ優勝。
そして第12ステージは、今大会最初の本格山岳ステージ。オーシュから1級、2級山岳をこなして最後は超級山岳オタカムの頂上ゴールという総合争いを大きく左右するコース。
レースは序盤からアタックが連発される激しいスタート、そして実に51人もの巨大な逃げ集団が形成され、メイン集団は2分程度の差をキープして追走する。残り60kmを切って、1級山岳のコル・デュ・スロールでメイン集団のペースが上がると、マイヨジョーヌのベン・ヒーリーが遅れていく。
先頭集団はどんどんバラけていき、次の2級山岳コル・デ・ボルデールでは15人から最後は3人まで集団の数が減り、頂上手前でフランス人のアルミライユがアタック、メイン集団に2分近い差をつけて先頭で2級山岳を通過する。
そしてオタカムの上りに入ってすぐ、メイン集団が一気にペースアップ。ナルバエスの引きにポガチャルとヴィンゲゴーしかついて行けなくなると、そのままポガチャルが一気にアタック、ヴィンゲゴーとの差がジリジリと一方的に広がっていく。
頂上まで10km以上を残して、先頭はポガチャル、2番手はヴィンゲゴーが1人で登る個人タイムトライアル状態、最後はポガチャルがヴィンゲゴーに2分10秒の差を付けて圧勝。総合では3分31秒の差をつけて、12ステージにして完全にポガチャルの首位固め状態に入った。
第13ステージは、ルーダンヴィエルから1級山岳ペイラギュード山頂ゴールまで10.9kmを登るだけの純粋な山岳タイムトライアル。
序盤でトップに立ったのはイギリス人のルーク・プラップで、24分58秒を叩き出す。そのタイムが破られたのは、スタートも終盤となる総合7位のログリッチになってからで、ここまであまり目立てていなかったがプラップを38秒上回るタイムを叩き出す。
しかし総合2位のヴィンゲゴーはさらにログリッチを上回るペースで走り抜き、ログリッチから44秒早いタイムでゴール、強さを見せつけたと誰もが思った瞬間、ポガチャルがすぐにゴールラインを通過、速かったヴィンゲゴーからさらに36秒差を付ける格の違いを見せつけてステージ優勝をぶん取ってしまった。
レース中盤にして他のライバルの戦意を喪失させる圧倒的な力の差を見せつけ、総合タイムで4分以上の独走体制を築いてしまったポガチャル。いったいこのままいくつ勝利して何十分のタイム差を付けて終わるのかが、レースの興味になってしまうのだろうか。
