「現代に蘇ったカニバル、ヴィズマ全員を食い尽くして4勝目」ツール・ド・フランス2024 第18・第19ステージ

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第18ステージは、ツール・ド・フランスではお馴染みのアルプスの麓にある街、ギャップからバルスロネットまでの179.5km。アルプスとはいえ、途中にある5つの峠は全て3級山岳で、いかにも逃げてくださいというコースレイアウト。

当然、スタートから激しいアタック合戦が繰り広げられるものの逃げはなかなか決まらず、ようやく最初の3級山岳フェストル峠に差し掛かったところで30人余の大きな逃げがようやく決まる。

フェストル峠と続くコールの丘、3つ目のマンス峠と、山岳賞を狙うカラパスとラスカノが争って全てラスカノが1位通過。しかし4つ目のサン・アポリネールで先頭集団からアタックする選手が出始め、ヨハンネセンが頂上をトップ通過。

最後のドモワゼル・コイフェ峠の頂上付近で、先頭集団からクフィアトコフスキがアタック、カンペナールツとヴェルシェはついて行ったが他の選手が遅れ、3名による逃げが成功する。残り1km地点で25秒差を付けた3人は、ゴールスプリントでカンペナールツが早めに抜け出し、そのまま逃げ切って涙のステージ優勝。

メイン集団では大きな動きは無く、そのまま13分40秒遅れでゴール。翌日の勝負どころに向けて総合争いに大きな動きは無く終わった。

そして第19ステージは、アンブランからイゾラ2000までの144.6km。超級山岳ヴァール峠に続き、大会最高地点となる標高2802mの超級山岳シム・ド・ラ・ボネット、最後は1級山岳のイゾラ2000を登りきっての頂上ゴールというクイーンステージ。

既にポガチャルから3分以上話されているヴィンゲゴー擁するヴィズマチームは、一か八かの賭けに出る。有力アシストのヨルゲンソン、ラポルト、ケルダーマンの3人を逃げ集団に送り込み、ヴィンゲゴーが終盤にアタックした時の前残りアシストを企んだのだ。

しかしUAEは慌てずヴィズマの逃げを静観、6人のアシストを集団に抱えて淡々とペースを刻む。そのメイン集団からは、山岳賞を狙うカラパスとサイモン・イェーツが逃げ集団へ合流するが、昨日山岳ポイントを争ったラスカノは遅れてしまう。そして1つ目の超級山岳ヴァール峠はカラパスが先頭で通過。

2つ目の超級山岳シム・ド・ラ・ボネットの登りに入ると、先頭集団はヨルゲンソン、ケルダーマン、カラパス、イェーツ、ヒンドリー、ロドリゲスの6人に絞られる。そして頂上ではカラパスがまた先頭で通過、最高地点に設定された山岳ポイントは超級の倍にあたる40ポイント、これでカラパスがポガチャルとヴィンゲゴーを抜いて山岳ポイントで単独トップに立った。

ヴィンゲゴーにとって誤算だったのは、シム・ド・ラ・ボネットでアシストが脱落して単騎になってしまい、彼自身の調子も良くなかった事だろう。それがチームに伝えられたのか、先頭集団にいたヨルゲンソンがイゾラ2000の頂上まで残り13kmのところで単独アタック、ヴィンゲゴーのアシストからステージ狙いに切り替えたのだ。

まだUAEのアシスト2人が牽引していたメイン集団では、残り9kmを切った時点でポガチャルがスッとアタック、これまで散々見せられてきたシーンだが、2位のヴィンゲゴー、3位のエヴェネプールはついて行けずジリジリと差は広がっていく。

それどころか、ポガチャルがアタックした時点で3分のタイム差があったヨルゲンソンとの距離もみるみるうちに縮まってしまい、残り2kmの地点であっさり抜いてヴィズマのプランは完全崩壊、そのままペースを落とさず今大会4度目となるステージ優勝。

結局ヴィンゲゴーはエヴェネプールに引かれて1分42秒差でゴール。現代に蘇った”カニバル”相手には、ただ白旗を上げるしかなかった。

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