第15ステージは、ピレネーの山岳ステージ2日目、4つの1級山岳を越えた後に超級山岳プラトー・ド・ベイユの頂上ゴールが待ち受ける、非常にハードなコース設定。
スタートからすぐに始まる1級山岳ペイルスルドの上りで、バルデとゴデュが逃げを仕掛けるも下りでメイン集団が吸収、その後は21人での逃げ集団が形成される。中間スプリントポイントでは、その中に入っていたギルマイがトップで通過も斜行のため3位降格。しかし3位でもマイヨヴェールはほぼ確実な状況になった。
4つ目の1級山岳アニェス峠に入ると、逃げ集団ではレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引、集団から選手が次々に脱落、最終的にはヒンドレーとエンリク・マス、ローレンス・デプルス、カラパス、ヨハンネセンの5人に集約される。
後方のメイン集団ではヴィズマチームが一気にペースアップ、プラトー・ド・ベイユの麓ではわずか20人程度に絞り込まれ、逃げ集団との差は2分30秒。先頭ではカラパスが単独でアタックするが、ヴィンゲゴーのアシストであるヨルゲンセンが強力に牽引、メイン集団との差はみるみるうちに縮まっていく。
そして頂上まで残り10km地点でヴィンゲゴーがアタック、ポガチャルはすかさずマークするがエヴェネプールは遅れてマイペース走法に徹する。そしてヴィンゲゴーとポガチャルの2人は逃げていたマス、カラパスをあっという間に抜き去って先頭に立つ。
ヴィンゲゴーが渾身のハイペースを続けるものの、ポガチャルは後ろでピッタリマーク。逆に残り5km地点でポガチャルがダンシングでアタックを仕掛けると、ヴィンゲゴーはついて行けず差がみるみるうちに広がってしまう。
結局、ポガチャルはヴィンゲゴーに1分8秒の差を付けてピレネー2連勝。ヴィズマとヴィンゲゴーはやるべき事をやったが刀折れ力尽きた格好となり、ポガチャルはジロ・デ・イタリアに続きツール・ド・フランスでもライバルをあっさり一蹴、現在のステージレース界では圧倒的な能力を備えている事を見せつけた。
これで総合では2位のヴィンゲゴーが3分9秒差、3位のエヴェネプールが5分19秒差となり、よほどのアクシデントが無い限りはポガチャルのダブルツールは確実な状況になった。残りの山岳ステージはあと2日、果たしてドラマは起こらず順当に終わってしまうのだろうか。