今年のツール・ド・フランスは、史上初のイタリアからのグランデパール。スタート地点は花の都フィレンツェ、ゴールはアドリア海に面するリゾート地リミニというステージ。しかし途中に2級山岳が3つ、3級山岳が4つ待ち受ける難度の高いコース。
今期は現在2連覇中のヴィンゲゴーが、4月のバスクでのレースで落車、肋骨骨折に肺挫傷と気胸を負う大怪我をしてしまい、スタートまで一切実戦を経ずに復帰、しかも第1アシストのセップ・クスがコロナから回復せずに欠場と、非常に厳しい状況でのスタート。
対するライバルのポガチャルは、今期は体を絞ってさらに上りを強化、ジロ・デ・イタリアでは登りのステージをことごとく勝利、エディ・メルクス以来のステージ6勝、総合タイムで2位に10分の差をつける圧勝で格の違いを見せつけており、下馬評では圧倒的にポガチャルが優位だが、果たしてどういう結果になるか。
レースはまずフィレンツェ市内を16kmという長いパレードランからスタート。アクチャルスタートから何度かアタックが繰り広げられ、最終的に7人の逃げが成功。最初の2級山岳はイザギレがトップで通過、メイン集団は4分差で通過、カヴェンディッシュが早速メイン集団から3分遅れてしまう。2つ目の3級山岳もイザギレがトップで通過。
2つ目の2級山岳の入りで先頭集団からイザギレが遅れて5人、メイン集団はUAEがハイペースを作って3分を切るタイムまで詰める。峠の頂上では、途中から追いついたアブラハムセンがトップで通過。
残り50km地点でメイン集団からフランスのロマン・バルデが飛び出し、先行するファンデンブルックと合流。3人になった先頭集団からはマドゥアスがトップで3つ目の2級山岳を通過。42kmで先頭はマドゥアス、バルデ、ファンデンブルックの3人になるが、登りでマドゥアスが遅れ始める。
最後の3級山岳はバルデとファンデンブルックが首位通過、残り20kmでメイン集団はリドル・トレックらスプリンターを擁するチームが引っ張って1分30秒で追う展開。平坦になってユンボ・ヴィズマも加わり集団が詰め、残り10kmで1分を切ってくる。
形勢は悪かったが、2人が驚異的な粘りを見せて逃げ切り、2人並んでニッコリ笑いながら最後はバルデがステージ勝利。集団はラウンドバウトが続いたせいで詰められず、3位はファンアールト、4位がポガチャルという結果になり、フランス人のバルデがマイヨジョーヌを獲得した。