翌日は休養日が待っている第9ステージは、エーグル~シャテル・レ・ポルト・デュ・ソレイユまでの193km。後半に1級山岳が連続する中級山岳ステージで、ツールの戦いはいよいよアルプスに差し掛かってきた。
いかにも逃げ屋向きのコースプロフィールとあって、スタートから激しくアタックが繰り広げられる展開が1時間ほど続くも、残り147km地点でようやくファンアールトやティボー・ピノ、ウランといった総合系の選手を含む22人という大所帯での逃げが決まる。
56.5km地点に設けられた中間スプリントポイントは、ファンアールトがあっさりと先頭で通過、その後は淡々とレースは進み、集団とのタイム差は最大で3分半が付き、逃げの中で最も成績上位のリゴベルト・ウランがバーチャルでマイヨジョーヌを獲得との報が流れる。
しかし最初の1級山岳、クロワ峠でユンゲルスがアタック、ゲシュケが追いついて先頭で通過、この時点でそれまでの山岳ポイントトップであったマグナス・コルトを上回って暫定で山岳賞。その下りでユンゲルスがまたスパート、2つ目の1級山岳パ・ド・モルジャン峠を単独で登る。
残り19km地点で、2分差が付いていた追走集団からティボー・ピノが抜け出し、先頭のユンゲルスを単独で追い始める。パ・ド・モルジャンの頂上では20秒差にまで迫ったが、下りでまたユンゲルスが突き放し、最後の上りでは40秒差にまで広がってしまう。
ユンゲルスは最後の上りで後続をさらに突き放し、そのまま60kmを逃げ切っての勝利。結局ティボー・ピノはカストロビエホとベローナに抜かれて4位でゴールも敢闘賞をゲット。山岳賞は1ポイント差でゲシュケがユンゲルスを抑えての獲得となった。
そしてメイン集団は、ラストの上りでは先頭から2分の差があったが、ゴール地点では50秒差まで詰めて来て、最後のスプリントはポガチャルが制し、そこからタイム差無しでヴィンゲゴー、3秒差でゲラント・トーマスが入った。
休養日明けの第10ステージからは、最後に伝説のラルプ・デュエズが待ち受けるアルプス頂上ゴール3連発。果たしてポガチャル圧倒的優位の前半戦を覆す展開になるのかどうか、見逃せない3日間がやって来る。