今年のツール最後のアルプスステージは、最後は山を下ってのゴールながら、超級山岳プラトー・デ・グリエールを始めとして1級山岳が2つ、あとは2級と3級が1つずつある、獲得標高差4,400mというハードなステージ。
レースはもちろん、残り少ないステージ優勝の座を狙って序盤から逃げのアタックが繰り広げられ、14km地点のスプリントポイントではまたもベネットが先着してサガンに対してポイントの差を広げる。そして1級山岳ロズラン峠の登りで、逃げ集団から選手が脱落して19人の集団が完成、メイン集団も逃げを容認してジリジリと差が広がっていく。
ロズラン峠、その後の2級山岳セジー峠を先頭で通過したのは12ステージで勝利を挙げたヒルシで、山岳ポイントを乱獲出来るこのステージで一気にまくる勢いを見せる。が、ヒルシはセジー峠からの下りでオーバースピード、前輪を滑らせて落車してしまう。ダメージは大きく無かったが、下りでのアクシデントは決定的な差となり、ヒルシは単独でリカバーしようとするが最後まで先頭には追いつけなかった。
セジー峠の登りで先頭集団から5人が抜け出し、そこからヒルシ、エデが脱落、そして超級山岳プラトー・デ・グリエールの登りでビルバオが遅れ、とうとう先頭はエネオスチームの2名、カラパスとクフィアトコフスキに絞られる。8分後方のメイン集団ではペースアップが始まり、総合5位のアダム・イェーツと6位のウランが遅れ始める。
プラトー・デ・グリエールをカラパスが先頭で通過、これで山岳賞でポガチャルに2点差を付けてトップに立つ。頂上でも先頭とメイン集団の差は6分あり、2人の逃げ切りが濃厚な状況に。下りの未舗装区間で総合4位のリッチー・ポートがパンクするが、何とかメイン集団に復帰する。
そしてゴールでは、カラパスとクフィアトコフスキが肩を組みながら、ステージの勝利は山岳賞ジャージを手に入れたカラパスがクフィアトコフスキに勝利を譲ってゴール。かつて1986年に、イノーとレモンが手を取り合ってゴールしたラルプ・デュエズを思わせるようなシーンだった。
後続のメイン集団では、ポガチャルのアタックなどの動きはあったが、ログリッチがしっかり抑え込んで1分51秒差でゴール。アダム・イェーツとウランはさらに2分以上遅れ、これで総合争いはログリッチ、ポガチャル、ロペスの3人に絞られた。そして勝負は土曜日の山岳個人タイムトライアルを残すのみとなった。