イタリアにおける初の日本人DF対決となった、サンプドリア対ボローニャ。ただし前節はクリスティアーノ・ロナウド相手に互角の戦いを見せた冨安が盤石の先発だったのに対し、吉田はローマ戦でジェコに裏を取られて2点を決められたのもあり、ベンチからのスタート。
フォーメーションはサンプドリアが4-4-2の4バック、ボローニャは4-3-3で1トップには再開後初めてパラシオが入り、冨安はいつもの右SBに入る形。
試合はいきなり冨安が積極的なオーバーラップを見せるが、対面の左SHリネッティがサイドの高い位置に張っているのもあって、冨安はSBの位置に留まって守備がメイン、むしろ左SBに入ったダイクスのほうが高い位置を取る展開になる。
序盤はややボローニャが押し気味の形になっていたが、30分を過ぎるとサンプドリアが優勢、冨安が持ち上がったところでボールを失ったり、アラグミナにCBとの間を破られて決定的なシュートを打たれたりと、苦しい流れになってしまう。
後半もジリジリした試合展開が続くが、ボローニャはパラシオがいつものような攻撃の起点になれないのに対し、後半15分過ぎにはまたサンプドリアが押し込む展開になり、ガッビアディーニのポストをかすめるミドルで冷や汗をかくボローニャ。
しかし後半25分、ボローニャはカウンターからパラシオが大きく展開、オルソリーニのトラップが流れたところでムッルが足を出すが、ボールはオルソリーニが先に触ってPKの判定、これをバロウが決めてボローニャが先制する。
ここでサンプドリアは足を痛めたトネッリに代わって吉田が投入。しかしその直後にバロウが2人のマークを振り切って左サイドを抜け出し、吉田が対応に行くが間に合わず、オルソリーニに頭で押し込まれて2点目。
サンプドリアは43分、左サイドで冨安がコースに入ったが間に合わず、クロスを上げられてGKスコルプスキがかぶってしまい、裏にいたボナッツォーリに1点を返される。が、7分間のロスタイム中に試合は動かず、このまま1-2で試合終了。
「冨安シフト」と言ってもいいぐらい、サンプドリアはかなりボローニャを研究して来たようで、SHのりネッティ、FWのガッビアディーニが代わる代わるサイドに流れて基点を作り、冨安を守備のカバーに忙殺されるようにして、ビルドアップや攻め上がりを封じた狙いは良かったのだが、肝心なところでミスが出てボローニャに先手を取られてしまった格好。冨安自身の見せ場は多くなかったが、ある意味陰の貢献と言えるのではないか。
吉田は入って早々に失点と、本人が絡む前のプレイが原因とは言え、ちと持ってないなあと。マンマーク重視のイタリア式と、ラインを上げてゾーンを整えるイングランド式の摺り合わせにまだ戸惑っているようだ。マンマークでの能力を見せられないと、イタリアのDFは立場が苦しくなってしまう。来期に向けての正念場だ。