今年のツールでは数少ない平坦コースの第7ステージは、さほど大きな波乱も無くスプリンターたちが最後はスプリント争いを繰り広げ、第1ステージの落車で調子を落としていた フルーネウェーヘンが、ユアンらとの勝負に競り勝って3年連続となるツールでの勝利を飾った。
そして第8ステージは、ツール・ド・フランスはヴォージュ山脈から中央山塊へと渡り、ブルゴーニュワインの拠点であるマコンからサンテティエンヌまでのルートで、途中には2級が5つ、3級が2つの合計7箇所の山岳があるという、選手にとっては休みが許されない難コースとなっている。
レースが始まってすぐに4人による逃げが決まり、中でもトーマス・デヘントは現在山岳賞ジャージを着ているチームメイトのウェレンスを防衛するために、途中の山岳賞を全て刈り取る役目を果たしている。集団もペースは落とさず3分程度の差をキープする中、第6ステージで勝利して総合3位に位置するトゥーンスが集団から遅れてしまう。
2級山岳クロワ・デ・パール峠で、逃げ集団はデヘントとデマルキの2人に絞られ、アスタナ勢が中心となって引っ張る後続のメイン集団も彼らに1分差まで詰め寄ったところで、ステージ最後の3級山岳ラ・ジェイレールへの登りが始まる。
先頭ではデヘントがデマルキを置いて単独でのアタックを決めると、集団からは現在6秒差で総合2位に付けているアラフィリップがアタック、逆に今年のジロ・デ・イタリアで2位になったニーバリは集団からズルズルと遅れていってしまう。
アラフィリップのアタックにはメイン集団から同じフランス勢のティボー・ピノが反応、デヘントから30秒遅れて峠を通過すると、2人でローテーションを組みながら先頭のデヘントを追い、その後ろで35人のメイン集団が追撃するという手に汗握る展開に。
しかし長さ200km、合計標高差3900mのコースを全て逃げていたとは思えないぐらい、デヘントの単独スパートのペースは落ちず、マイヨジョーヌ奪還のために必死で走るアラフィリップとピノーとの差が全く縮まらない。そしてそのままデヘントが逃げ切り、驚異的なステージ優勝を飾ることになった。
そしてアラフィリップは途中のボーナスタイムで9秒を稼ぎ、メイン集団から20秒の差を付けてゴールをした事で、それまで首位のチッコーネから23秒の差を付けてマイヨジョーヌを獲得、ピノは総合7位から3位にアップ、ゲラント・トーマスから20秒の差を獲得することに成功した。
今日の革命記念日にはフランスのアラフィリップがマイヨジョーヌを着ての出走が確定、さぞかしフランスは久々にツールの話題で盛り上がっている事だろう。その第9ステージは、激坂の1級山岳ュール・ドレック・シュル・ロワールをこなした後、最後の13km地点で3級山岳サン・ジュスト坂が待ち構える、まさに逃げ屋による逃げ屋のためのコース。フランス人を中心としたパンチャー連中がガンガン飛び出す展開になりそうだ。