ブラジル体アルゼンチンという、南米を打評する両雄同士の対戦となった注目のコパ・アメリカ準決勝。
ブラジルは出場停止のカゼミーロが先発に復帰、体調不良のフェリペ・ルイスに代えてサンドロが入った以外は準々決勝のパラグアイ戦と同じ4-2-3-1、アルゼンチンはベネズエラ戦と全く同じ、メッシがトップ下に入ってラウタロ・マルティネスとアグエロが2トップになった4-3-1-2。
ホームかつトータルでの実力的にはアルゼンチンを上回っているブラジルがもっと試合を圧倒するかと思いきや、アルゼンチンは果敢にデュエルで勝負を仕掛け、ブラジルのプレスを個人のキープ力で跳ね除けてボールを繋ぐ攻撃で抵抗、メッシも守備を怠らず勝利への意欲が見える。
が、先制したのはブラジル。前半19分にダニ・アウヴェスがドリブルで剥がし、ノールックでサイドにパス、アルゼンチンは右SBのフォイスがマークを外してしまい、折返しをフリーになっていたジェズスが押し込み先制する。
アルゼンチンは、その直後にメッシが受けたファールからFKを得ると、メッシ自身が蹴ったボールにアグエロが頭で合わせるも、ボールはクロスバーに当たって跳ね返りゴールならず。ここで追いつけなかったのが、アルゼンチンにとっては非常に痛かった。
その後はブラジルは4-1-4-1で守備ブロックを作る形にシフト、アルゼンチンはメッシがボールをもらいに中盤まで下がり、そこから何とか攻撃を組み立てようとするのだが、アタッキングサードに入るとカゼミーロがメッシをファール覚悟で潰しに行き、攻撃のリズムを確実に寸断する。
後半からブラジルはエヴェルトンに代えてウィリアンを投入、しかしアルゼンチンは前線でのワンツーなどスピードに乗った攻撃で、デ・パウルらが強烈なシュートを放つがブラジルGKアリソンに阻まれる。後半12分にもメッシのドリブルから波状攻撃、メッシ自身のシュートがポストに当たってまたも無得点。
アルゼンチンはディ・マリア、ロチェルソを投入、ブラジルはマルキーニョスが怪我でミランダと交代、アルゼンチンが攻めてブラジルが守る展開が固まる。が、後半25分にカウンターからジェズスが個人技で3人の守備を突破、PA内での折返しをフィルミーノがやすやすと決めてブラジルが2点目。これで試合は決まってしまった。
シュート数はブラジルが4に対してアルゼンチンが14、ボールポゼッションが49対51という数字を見れば、アルゼンチンが押していたように見えるのだが、実際はほぼ完璧にブラジルがアルゼンチンの攻撃を封じ込め、訪れたチャンスをきっちりモノにして勝つという横綱相撲だった。
勝敗のポイントになったのは、やはりメッシ対策とサイドでの攻防。復帰したカゼミーロがメッシをマンマークして仕事をさせず、ジェズスとダニ・アウヴェスのブラジル右サイドに対して、アルゼンチンはアクーニャが必死で食らいついたが、疲労困憊でディ・マリアに交代すると、さらに何も出来なくなってしまった。
メッシはこの試合にかける思いが強かったのか、いつもよりは守備に戻る回数は多かったが、FWのラウタロ・マルティネスが戻ってカバーするほうが当然多く、メッシがいると各選手の守備負担が増え、その分攻撃に回す余力が落ちるのは確か。逆にブラジルはネイマールがいない分、走れる選手を前線に揃えてインテンシティ的に万全の体制を敷いている事が、ここまで大会無失点という結果に繋がっている。メッシはまだ代表引退はしないらしいが、アルゼンチンはこれからどういう選択をするのだろうか。