福島県の尚志、そして青森山田の東北勢同士の対決となった、高校サッカー選手権の準決勝。埼玉スタジアムで行われた試合は、尚志が4-4-2、青森山田は4-2-3-1のフォーメーションでスタート。
試合は意外にも尚志が序盤から攻勢を仕掛け、ボランチやSHが1対1での勝負を恐れずにどんどん個人で仕掛け、FWとSH、SBで左右のトライアングルを作ってダイレクトパスを繋ぎ、青森山田をやや押し込む展開で始まる。
前半26分に、右サイドから低く蹴られたFKに染野がニアで合わせて尚志が先制点をゲットする。さらに勢いに乗る尚志は、37分にも左サイドからカットインした10番の伊藤が強烈なシュートも、青森山田GK飯田が片手一本でボールを弾く。
尚志は4-4のゾーンが非常にコンパクトで高い位置を保ち、青森山田のキーマンである右SHのバスケス・バイロンに対しては常時左SB沼田とSH高橋のダブルチームで対応、前半の青森山田はわずか1本しかシュートが打てないぐらいに抑え込まれる。
しかし後半、青森山田はロングボールでシンプルにボールを送り、セカンドボールを拾って個人で勝負する姿勢を強めると、10分にカウンターからスルーパスを受けたバスケス・バイロンが後ろから倒されPK、これを檀崎がしっかり決めて同点に。さらに後半18分、左CKに三國がGKとニアで競り勝ちヘディングシュート、青森山田が逆転する。
尚志はこれで意気消沈するかと思いきや、失点直後に伊藤が決定的なシュートを放つと、22分にロングボールから加瀬へと繋ぎ、PA内で折返しを受けたFW染野が切り返しでDF3人を置き去りにするゴールを決め、尚志が同点に追いつく。さらに後半30分、伊藤、加瀬とダイレクトパスから最後は染野が抜け出しファーに流し込む美しいゴールで逆転してしまう。
その後も尚志の勢いに押され気味だった青森山田だったが、長身の三國を前線に置いてパワープレイを仕掛け、尚志も良く粘って耐えていたのだが、後半42分にGKからのロングキックを三國が頭でそらし、これをSB沼田が外にクリアしようとしたボールを小松がカット、そのままトーキックで流し込み再び同点。
青森山田はロスタイムに、これもDFのヘディングをカットした小松がGKと1対1になるが、尚志GK森本が足で止め、そしてPK要員として鈴木にGKを交代して試合終了、90分で勝負は決まらずPK戦に。
PK戦は、2人目で尚志が1つリードしながらもその後連続で失敗、最後は青森山田5人目の藤原が決め、壮絶な東北対決を青森山田が制し、決勝へと進出した。
予想では青森山田がもっと圧倒するかと思ったのだが、前半は尚志の守備組織が完璧に機能、終盤は個人能力でやられてしまったが、見事な戦いぶりだった。そしてハットトリックを決めたU-17代表の染野は、間違いなく大迫2世として来期はJクラブの争奪戦が繰り広げられる事になるだろう。