メキシコ戦から完全ターンオーバーで迎えたアメリカ戦は、ご存知のように0-2で完敗。日本はこのアメリカ遠征で1点も取れず1分け1敗という惨憺たる結果に終わってしまった。
そのアメリカ戦だが、比較的内容が良かったメキシコ戦と異なる最も大きなポイントは、DFラインの高さにあった。
日本は一応メキシコ戦と同様に、前線から一生懸命プレスをかけていたのはいいけれど、DFラインがすぐに下がるため中盤が押し上げられず、ファーストプレスを交わされると前には広大なスペースが開いてしまい、アメリカはノープレッシャーで日本のサイドにボールを展開できていた。
ボランチの藤田譲瑠チマや佐野海舟は、何とかボールホルダーにプレッシャーをかけようとするのだが、彼らが前に出るとさらに裏ががら空き。それでも序盤は関根がプリシッチをマークするなど相手を自由にさせなかったが、失点前後からアメリカがポジションチェンジしてバイタルを使い始めると対応が後手に回ってしまった。
失点してからは日本は完全に5バック状態になってビルドアップ出来ず防戦一方。後半から日本は瀬古を左SBに入れて4バックに変更するが、何も戦術的に統一された意図が無いので、瀬古はノロノロと前に出ては後ろを取られるのみ。
日本は鎌田、南野、三笘を入れて打開の意図は見せるが、プリシッチとバログンに佐野と関根が振り切られあっさり追加点。その後も菅原、町野と選手を投入するが得点は奪えずそのまま0-2で試合終了。
何度も何度も書いているとおり、名波サンもセットプレイぐらいは練習しているかもしれないが(笑)森保ジャパンは選手自身が戦術を指導するチーム。だからこそ、五大リーグ、またはそれに準ずるリーグに所属し、世界レベルの戦術で日々戦っている選手が呼ばれているのだ。
今回は遠藤、板倉、鎌田とセンターラインの中心選手が誰もおらず、おそらく戦術面ではほとんど各自が手探りでプレイしていただけだと思う。藤田にしても佐野海舟にしても、中盤がコンパクトであるから生きる選手であり、あれだけ間延びしていたらアメリカ相手では致命傷である。
まあ森保監督にしてみたら、来年のW杯に向けて移動や時差などの環境を試すのが目的で、内容も結果も承知の捨て試合だったという事だろう。犠牲になったのはサブメンバーと我々サッカーファン、そしてFIFAランクである。
