チャンピオンシップ2位と自動昇格圏に位置するも、4位まで勝ち点2差の激戦を戦っているリーズは、今節で5位のミドルズブラと対戦。フォーメーションはどちらも4-2-3-1で、田中碧はボランチで先発。
試合はホームのリーズが完全にボールを支配、田中はアンカーとして3バックの中に入ってビルドアップに参加、正確なフィードや縦パスで攻撃の基点として圧倒的な存在感。不思議なもので、リーズ全体でも選手の動き出しにスルーパスを合わせる攻撃がはっきり増えている。
すると前半15分、右サイドからの折り返しにニアでジョセフが競ったボールは、ミドルズブラGKディエンに弾かれるが、そのこぼれ球をニョントが押し込みリーズが先制する。その後はミドルズブラがボールを保持する時間帯が増えるが、前半終わりごろは再びリーズが支配、43分には田中のサイドチェンジからアーロンソンがシュートもバーの上。
後半もミドルズブラが勢いを見せる立ち上がり。7分にニョントのシュートが相手に当たったこぼれ球を田中がシュートも、上手くヒットせず大きくスライスして外れてしまう。すると10分にミドルズブラのCKにニアで競ったウーバーの頭でコースが変わってゴールイン、同点に追いつかれる。
その後しばらく試合は膠着状態、22分に田中がボールを奪われフリーのドークに決定的なシュートを浴びるが、リーズGKメリエが果敢な飛び出しで防ぎ命拾い。逆に28分、田中のパスカットからジェームズがシュートもコースが甘くGKがキャッチ。その1分後、また中盤でボールをカットすると今度はジェームズが決めてリーズが勝ち越し。
当然、ビハインドのミドルズブラが攻める時間になるが、ロスタイム2分に相手DFからの縦パスを狙っていた田中がパスカット、ゴール左に飛び出した田中にジェームズからのパスが通り、田中は足元に収めてシュートと見せかけ、隣に寄せていたアーロンソンに横パス、これを体ごと押し込んでダメ押しの3点目。試合はこのまま3-1でリーズが勝利、順位は変わらないが3位以下のバーンリーとサンダーランドがドローだったので勝ち点差は3に広がった。
何より驚いたのは、リーズがもはや完全に田中のチームになっていた事である。先日に見たスウォンジー戦ではまだイングランドらしいキック・アンド・ラッシュ風味を感じたのだが、この試合は必ず田中を基点とするパスサッカーにすっかり変貌、同じチームとは思えない変化をもたらしていた。もはや田中碧は、かつてのバルサにおけるブスケツのように替えの利かない存在になりつつあると言えるだろう。