今年は日本代表のアジア予選の日程等を考慮し、恒例の元日決勝から日程を前倒しにしての開催となった天皇杯。
決勝のカードは、セレッソを破った浦和と、J1王者川崎に延長戦から追いついてPK戦で勝ち上がった大分とのカード。会場の新国立競技場はコロナ以来初めての観客制限無しで本来の姿を見せている。
浦和は、今期での現役引退を決めた阿部勇樹はスタンドから観戦、退団が決まっている槙野と宇賀神はベンチスタートの4-2-3-1。そして来期はガンバの監督へ就任が決まっている片野坂監督が率いる大分は、中盤ダイアモンドの4-4-2のフォーメーション。
試合は早くも前半6分に動く。右サイドで小泉が粘ったボールを関根が拾い、マイナスの折返しを江坂が決めて浦和が先制点をゲットする。その後は大分がボールを保持する流れになるが、戻りの速い浦和の守備を崩す気配が見られない。33分には大分GK高木のフィードが柴戸の頭に当たってあわやオウンゴールという場面も。
後半になると、大分が中盤フラットの4-4-2に変更、浦和のフォーメーションに対してマッチアップする形でハイプレスを仕掛け、浦和に余裕を与えない。すると後半25分に浦和が西川のスローからカウンター、関根がマークを剥がしてスルーパス、江坂が抜け出しシュートも大分GK高木が何とか手で触って失点を免れる。
浦和は後半27分に宇賀神を入れてユンカーを下げ、江坂が1トップに入る。大分も前線に長身の長沢を投入、シンプルにロングボールを当てて来る攻撃で同点を狙う。さらに浦和は後半38分にキャプテンマークを巻いた槙野が投入され、5-4-1にして守り切る体制。
しかし大分は後半42分に渡邉が右から強烈なシュートを放つと、45分にFKの流れからアーリークロスにペレイラが頭で合わせて同点。そのまま延長戦に入るかと思われたが、後半ロスタイム3分にCKからのこぼれ球を柴戸がボレー、それを槙野が頭でコースを変えてゴールイン。ユニフォームを脱いだ槙野には当然イエローカード。
最後は大分がパワープレイを仕掛けるがそのまま2-1で試合終了。浦和が3大会ぶり8回目の天皇杯優勝を飾り、来期のアジアチャンピオンズリーグ出場権も獲得した。大分はJ2への降格が決まったチームとして、天皇杯初優勝の記録がかかっていたが達成ならず。
それにしても、最後に出て来てちゃっかり美味しいところを持って行くあたり、槙野は何だかんだで”持ってる男”なんだなと実感。試合の内容的には浦和が明らかに上回っていたけど、大勝負を決めるのは「運」の力が物を言うのがサッカーなので、そういう選手をリストラして若いチームになった浦和がこの勝負強さを維持できるのかどうか。リカルド監督の本当の手腕が問われるところだろう。