こちらも今大会の優勝候補であるベルギーは、スロバキア、ルーマニア、ウクライナとグループEに入り、決勝トーナメント進出は確実に思われたが、まさか初戦でこんな番狂わせが起こるとはさすがに想像は出来なかった。
ベルギーのフォーメーションは4-2-3-1で、1トップがルカク、2列目がトロサール、デ・ブライネ、ドクというビッグクラブのエース級選手が並ぶ攻撃陣。対するスロバキアは4-1-4-1の形。
いきなり前半3分に、右サイドをドクが単独でドリブル突破、デ・ブライネが触ってルカクがシュート、これはスロバキアGKドゥーブラフカが至近距離でストップ、5分にはルカクがDFラインを抜け出しトラップが流れでGKにキャッチされたが、このまま問題なくチャンスを量産出来るかに思われた。
ところが前半7分、自陣でのスローインからプレスを受けたドクが、ダブルタッチで無理に交わして中へパス、これを拾われてのシュートはベルギーGKカステルスがセーブしたものの、こぼれ球をシュランツに押し込まれてスロバキアに先制を許してしまう。
ベルギーは21分に、トロサールがスロバキア陣内でパスミスを拾ってシュートも枠に飛ばせず。36分にもオナナがCKからヘッドもドゥーブラフカがキャッチ。逆に40分、スロバキアは右からのクロスにハラスリンがドンピシャボレーも、カステルスが横っ飛びの左手1本でセーブする決定機。
前半42分には、またルカクが完全にDFラインから抜け出すも、浮いたボールの処理に手間取ってシュートまで行けず、ロスタイムもドクが飛び出してクロスも相手に当たり、前半を0-1で折り返す。
後半から、ベルギーはドクとトロサールのポジションを入れ替え、左からの攻撃を活性化させる。そして11分に、CKからのクロスをオナナが頭で折り返したボールを、ルカクがようやく決めたかに見えたがまたしてもオフサイド。
17分にも浮いたクロスのこぼれ球をルカクがシュートもサイドネット。直後にはバカヨコがグラウンダーのクロスがこぼれたボールをシュートも、ゴールライン上でハンツコが体で跳ね返すなど、ベルギーはひたすらゴールが遠い。
ベルギーは4-3-3のフォーメーションに変更、トロサールとデ・ブライネがインサイドハーフになって打開を図るが、スロバキアはリードしていても全くラインを下げず、ベルギー陣内からプレスをかけてボールの出しどころを抑える献身的な守備を見せる。
試合残り10分、ベルギーはカラスコ、ルケバキオを投入。そして42分に、左サイドでオベンダが抜け出し、クロスをルカクが合わせて今度こそゴールを決めたかに見えたが、新しく導入されたボール内のセンサーがハンドの衝撃を示し、またもベルギーはゴールを逃してしまう。
後半ロスタイムにはデ・ブライネがPA内に持ち込んでのシュートなど、ベルギーは最後までスロバキアを攻め立てたがゴールは奪えず、そのまま0-1で試合終了。ベルギーの1強で無風状態に見えたグループEが、一気にカオスな状況になってしまった。
山のようにあったチャンスをルカクが1つでも決めていたら結果は変わっていたと思うが、スロバキアの守備が見事だったのは確か。特にアンカーのロボツカは、デ・ブライネをマークしつつ中盤にもプレスをかけ続けるなど、獅子奮迅の働きで公式のMVPに選ばれたのも納得の活躍だったね。