「グリーリッシュを使い捨てにする贅沢采配とプレゼントPKで、疲れ切ったデンマークに辛勝」EURO2020 準決勝 イングランド-デンマーク

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イングランドのホーム、ウェンブリー・スタジアムで行われたもう一方の準決勝。イングランドは4-2-3-1のフォーメーションで、ケインの1トップに2列目がスターリング、マウント、サカという並び。対するデンマークは、ドルベアの1トップにシャドーがデムスゴー、ブライスワイトの3-4-3という形。

試合のペースはイングランド。ケインが中盤に下がってポストプレイ、マウントが動いてスペースを作り、スターリングがドリブルで仕掛けるコンビネーションが機能する。デンマークはカウンターを狙うが、1対1のヨーイドンではウォーカーが潰してしまう。

前半16分にイングランドGKピックフォードが相手にプレゼントパス、これは何とかCKに逃れたが、ここからデンマークが前に出るようになり、イングランドはデンマークの3CBにプレスをかけに行かないので、徐々にデンマークが中盤を支配するようになる。

すると前半30分、デンマークがゴールやや左25mでFKを得ると、デムスゴーが直接決めてアウェイのデンマークが先制する。イングランドは前半36分にゴール正面でFKを得るが、スターリングのキックは壁に当たる。しかし39分、ケインのポストから反転スルーパス、サカが抜け出し折返しにスターリングが飛び込み、ケアーが競るもオウンゴールになってしまう。

後半も開始早々にデンマークはドルベアがシュート、これはピックフォードがやっとファインセーブ。イングランドも10分にFKからマグワイアがヘッドもシュマイケルが横っ飛びで防ぐ。イングランドはやや中盤で間延びして攻撃の形が作れない。

徐々に疲れが見えてきたデンマークは、後半22分にデムスゴー、ドルベアらを下げて一気に3人交代。それを受けてイングランドはサカに代えてグリーリッシュを投入。29分にケインがPA内で足を引っ掛けられたかに見えたがVARでノーファール。終盤はイングランドが完全にボールを支配するも、デンマークの守備を崩しきれず延長戦へ。

延長前半早々、イングランドはケインが抜け出しシュートもまたシュマイケルに防がれ、こぼれ球にも詰めきれない。ここでイングランドはマウントに代えてフォーデン。10分過ぎからはまたイングランドがボールを支配、何度もCKの場面を作るがデンマークの守備に跳ね返される。

しかし前半12分、スターリングが右サイドから細かいドリブルでPAに侵入、足を途中で引っ込めたにも関わらずメーレのファールいう微妙な判定でイングランドにPK。キックを一度はシュマイケルが止めるも、再びケインが押し込みイングランドが勝ち越し。

後半からイングランドはグリーリッシュを下げてトリッピアーを入れ、5バックにして守備を固める。デンマークは4バックに変更して攻めに出る。デンマークは何度かCKのチャンスを得るが、イングランドもカウンターから相手陣内でじっくり回して時間を稼ぐ。ウェンブリーに広がるオーレの掛け声、そしてそのまま2-1で試合終了、イングランドがEURO初となる決勝へ進出した。

イングランドはお約束のGKやらかし、失点で毎度の負けパターンになりそうだったのだが、デンマークに疲労が溜まってドルベア、デムスゴーが下がってからは攻撃力がガタ落ちしてしまった。逆にイングランドは有り余るタレントを次々に繰り出し、とどめは途中出場のグリーリッシュを守備固めで下げるというアラブの王族もビックリな贅沢采配と、選手層の厚さで決まってしまった。

これで決勝のカードは、予想通りにイタリア対イングランド。チーム力だけを見ればイタリアのほうが上回るが、どちらも延長戦をこなして来ただけに、イングランドの選手層が物を言う事になるかもしれない。とにかく試合が楽しみである。

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