新型コロナウイルス感染対策のため、今年は無観客の埼玉スタジアムで行われた全国高校サッカー選手権の決勝戦。山梨学院は4-4-2のフォーメーションで、青森山田は4-1-4-1の形でスタート。
試合は、前半5分に青森山田の松木がニアに強烈なシュートを放ったが、山梨学院GK熊倉が片手1本で止めて決定機を凌ぐと、逆に前半12分、右サイドでのカウンターから中でパスを受けた平田が、ワントラップからDF2人の間を抜くシュートを決めて山梨学院が先制する。
その後は当然、青森山田がボールを保持する展開になるのだが、山梨学院は単にズルズル下がって防戦一方になるのではなく、サイドを突かれたらSBがカバーしつつ、SHやボランチがニアゾーンを埋めるゾーンディフェンスのルールが徹底されており、要所でしっかり反発力を見せている。
後半になると、青森山田は徹底的にサイドへ早く展開する攻撃を見せるようになると、後半11分に右サイドでのロングスローから、ゴール前でのこぼれ球を松木がシュート、熊倉が弾いたボールを藤原が押し込み同点に追いつく。さらに18分にはまたも右サイドから崩して安斎が競り合いながら中で合わせて逆転ゴールを決める。
これでこのまま青森山田が押し切るかと思われたのだが、山梨学院は気持ちを切らさず前線からのプレスを徹底させ、デュエルでも粘り強さを見せて青森山田に一方的な展開を許さない。
すると後半33分、早いリスタートから笹沼のスルーパスに山口が抜け出し、いったんは青森山田のDFが体を入れて防いだかに見えたがGK韮澤と交錯してルーズボールになってしまい、こぼれたボールを野田が蹴り込み同点に追いつく。
さらに青森山田は試合終了間際に右サイドからのクロスを中でスルー、GK熊倉が飛び出してガラ空きだったゴールに、フリーの仙石が合わせるもまさかのQBKでバーの上。そしてそのまま試合は90分で決着がつかず前後半10分ずつの延長戦へ。
延長になると、青森山田は焦りがあるのか早めに前線へとボールを放り込む攻撃が多くなり、山梨学院が跳ね返しつつセカンドボールを拾う流れで時間が進み、そのままスコアは動かずPK戦へと突入する。
PK戦では、青森山田の2人目キッカーの安斎が熊倉に止められ、4人目の三輪がゴールを外してしまったのに対し、山梨学院は4人が全てゴールを決めて11大会ぶり2度目の優勝を飾った。
地力で言えば確かに青森山田のほうが上ではあったが後半終了間際のビッグチャンスに決められなかったのと、山梨学院は単にベタ引きにならずゾーンを保って最後まで良く走っていた事が運命を変えた要因だったように思う。非常にナイスゲームで、満員の観客でプレイさせてあげたかった試合だったね。