「これからはフロントにも”世界基準”が問われる、エポックメイキングな優勝」J1第34節 横浜Fマリノス-FC東京

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J1リーグ優勝がかかった大一番。FC東京が逆転優勝するためには、4点差以上での勝利が必要な試合だったが、前半23分に永井が横浜DFラインを完全に抜け出したシュートを決められず、逆に3分後にティーラトンのシュートがDFに当たってロビング気味のコースになって横浜がゴール。この時点でほぼ優勝の行方は決まってしまった。

その運もあったが、攻めなければいけない東京は前線こそ人数をかけてはいるものの、後ろのDFラインが連動しておらず、プレスがかからずに横浜はやすやすと中盤でパスを繋ぐ事が出来、朴一圭が退場してからも横浜がペースを握ったままだった。

そもそも東京の4-4-2に対して、横浜の5レーンを使ってハーフスペースにどんどん人が入り込んで行くサッカーは相性が悪いというか、そもそも5レーン理論自体が4-4-2ゾーンディフェンスサッカーに対する対策として生まれたものなので、それが完成されていれば横浜の方が強いのは当たり前なんだよね。

ただ、その「当たり前」がこれまでのJ1には存在しなかった。今まで、J1で優勝して来たチームのほとんどが、戦術的な約束事は最低限で、あとはスター選手が気持ちよくプレイ出来るように、能力を最大限に活かすためのサッカーであった。

唯一、オシム監督時代の千葉がそのセオリーをひっくり返しそうだったが、選手層の薄さによる夏場の息切れと、「オシムって言っちゃったね」で代表に奪われ、志半ばで潰えてしまった。他にもユン・ジョンファン監督など、選手の自由よりも規律と戦術を重視する監督はいたが、だいたい最後はスター選手の不興を買ってフロントが日和りクビになるパターンで、日本代表もそうだが「スター選手>フロント>監督」という力関係が当然になっていた。

そういう意味で、今期の横浜Fマリノスは、フロントが監督を信頼し、監督はスターであっても戦術的に不要な選手を容赦なく整理、そして最後まで監督が目指す戦術を遂行して優勝という結果を出したという意味で、まさにJリーグがワールドスタンダードに近づいた、エポックメイキングな出来事であったと言えよう。

とは言え、それでJ1フロントの意識が変わるかは非常に怪しい。Fマリノスが成功したのは、単にシティ・フットボール・グループのコネで当たり外国人選手を獲得できたからというサポーターの意見は少なくない。ましてやフロントがどういう思考になっているかは、三木谷氏の行動を見れば明らかである(笑)。

唯一、フロント力で対抗できそうなのは鹿島ぐらいだが、メルカリが親会社になって悪い意味で神戸化する可能性が無きにしもあらずで、この日本的悪習を消し去るためには、横浜FマリノスがJ1を5連覇するぐらいに圧倒的な存在にならないといけないのではないかと思ったりもする。

もちろん、実際にJ1がそんな展開になってしまうのは面白くないので。横浜Fマリノスの戦術を研究して対策し、それをまた横浜が上回っていくような、戦術t系な切磋琢磨が繰り返される事を期待したい。

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