2003年1月12日

・「ジーコのリーダー論」を読んで

先日、コラムで「鹿島をどうやって強くしたか分からない」と書いたのだが、それではまずいと思い、「ジーコのリーダー論」という本を読んでみた。

主にリーダーとしてどうあるべきかを説いた内容であるが、その例として鹿島アントラーズでジーコが行ったことが書かれていた。その中で、チームの具体的強化方法について書かれた部分の要旨は以下のとおり。

これを見て、なぜカピタンがジーコなら大丈夫と力説するのかが分かった気がする。

つまり、「ジーコ=クラマー」なのだ。

まず選手としてのあり方を教え、徹底的な基礎練習。これは、全くクラマー氏がやった事と同じである。カピタンは、自分達がクラマー氏によって強くなったプロセスの再現を夢見ているのだ。ついでに、いわゆる「抱きつき論」もここから出ているのではと思わせる記事も見つけたので興味があればどうぞ。

とりあえずカピタンについては置いといて、この理論から見えてくる事は、トルシエのやり方が、セリエAのキエーボのように、戦術によって選手の持っている能力以上の結果を出すためのものであるのに対し、ジーコは選手の能力を引き出す事に主眼を置き、戦術はあくまでチーム力を築くためのベースであるということだ。これについては今日行われたジーコの講演内容でも裏づけされていると言える。

この基本重視のジーコ路線が2006年にどうかと言う点であるが、こればかりはこれからの試合を見てみないと分からない。

アマチュアではなく欧州リーグのプロに対して基本ばかりはどうなのかとか、接する時間が短い代表でどうなのか、欧州やJ全部の選手の能力を把握して再編成に手をつけるのはいつになるのか、欧州選手とのレベル差をこれで埋められるのかなどの疑念は依然として残るのだが。

ともかく、これからの代表を見ていく上で、読んでおいて損は無い本である。

ジーコのリーダー論  ジーコ著 ごま書房


サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」