2003年9月10日

・キリンチャレンジカップ 日本-セネガル(0-1)

一言で言えば、日本の弱点と課題が見事に明らかになった試合だと言える。

セネガルは前半開始わずか5分でCKから得点(ライターの皆さんが大好きなマンマークで日本は守りながら(笑))し、あとはあまり統率はされてないものの後ろの8人で2ラインを形成し、バイタルエリアのスペースを極力圧縮した守備で守りきってしまった。日本はそういった相手に裏への1本のパスだけに固執すると言う工夫の無い攻めで無様な試合に終始、ようやく相手が疲れてきた後半30分過ぎに断続的なチャンスを作ったもののあまりにも遅すぎた。しかもこちらのチャンスと同じくらいピンチを作ってしまっているのがまた情けない。

原因ははっきりしている。オートマティズムの欠如である。

日本が後方でパスを回している間も周りの選手の動きが無く、大久保と柳沢と中盤との間でポストプレイを利用した組み立ては皆無、中盤でボールを持てても個人の発想とコンビに頼っているため、少し呼吸を計って考える時間を作ってしまうと相手の速さに追いつかれてしまう。引いた相手にはミドルシュートが効果的なのだが、チーム全体の押し上げが遅くて中盤がフォローできてない。試合中に選手同士が重なる場面がどれだけ見られた事か。全て意思統一がされていないからである。この試合を見た中東勢はおそらくニヤリとほくそえんだ事だろう。

結局ジーコのチームでは、スペースがある相手にはクリエイティブな選手を並べればパスがつながっていいのだろうが、時間とスペースの無い状況ではよほど究極にコンビネーションが出来上がらないと一気に困難に陥るという事なのだろう。まあ弱点もブラジルらしいと言えばそうなのだが。

このまま、引いた相手でもあうんの呼吸で崩せるほど海外組を呼びつづけて試合を重ねていくのか、それとももっと攻撃やポジショニングの型を作っていくのか。ジーコはまず間違いなく前者なのだろうが、それで果たして選手は可能性を感じる事が出来るのだろうか。次の欧州遠征では相手が引いてくる事はないであろうが、もし相手が万全のコンディションのベストメンバーで真剣勝負を挑んできた場合、コンフェデでは通用した方法でも全く歯が立たないかもしれないのだ。もしそれで惨敗が続いてしまうと、チーム崩壊の危険すらある事を覚悟しておいた方がいいのかもしれない。

●採点(したくない・・・)

  • 曽ヶ端 5.5 良いセーブもあったが失点は防ぐのが不可能なボールではなかった。
  • 山田 5.5 今日は上がってもほとんどクロスが出せなかった。守備はまずまず。
  • 坪井 5.5 失点は良い勉強。しかしフィードが全く使い物にならないのはどうにかならないのだろうか。
  • 宮本 6 今日スタメンで唯一の及第点。三都主のカバーに奔走した。
  • 三都主 4 抜かれる、マークを外す、無理なドリブルと三悪揃い踏み。
  • 稲本 5.5 パスコースが無いと判断が遅くなる欠点を露呈してしまった。
  • 遠藤 5.5 引いた相手にただつないでも無意味。良かったのは飛び出した時だけ。
  • 小野 6 相手が疲れていたとは言え、遠藤よりはまだ攻撃のアクセントになっていた。
  • 中田 5 後半に持ち前のスタミナでボールを持てるようになったが、中田一人で試合は出来ないと言う事に気付くべき。
  • 中村 5.5 前半は精度の高いセットプレイを見せたが、動いてるボールはだめ。後半には完全に消える。
  • 柳沢 4.5 ・・・コメントの必要なし。ここがイタリアでなくて良かったね(笑)。
  • 大久保 5.5 PKを取ってもらえなかったのは不運。柳沢と動きがかぶりすぎた。
  • 本山 6 相手が疲れてスペースが出来たときの投入が計算できる事は分かった。
  • 黒部 5.5 シュートは出来なかったが、今日の試合ならポスト役として先発すべきだった。ジーコの人選ミス。

サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」