日本はGK楢崎、DF名良橋、秋田、森岡、服部、MF小笠原、稲本、中田コ、三都主、FWが中山と鈴木という事前予想通りのメンバー。対する韓国はチェヨンスの1トップにチャドゥリ、ユサンチョル、ソルギヒョンが並び、キムナミルやイウリョンなどの欧州組も入ったかなり気合の入ったメンバー。
試合は開始早々から球際の激しいかなり激しい戦いになる。しかし、開始直後こそソルギヒョンが右サイドから突破を仕掛ける攻撃があったものの韓国の4バックの位置が低く、SBの前のスペースが空いて三都主に使われるのをフォローするためにチャドゥリが下がってしまい、韓国はロングボールしか組み立てられない。
日本は相手のFWにDFが厳しくマークに付いてポストプレイを許さず、中盤にFWが下がってボールを受けて、その裏へ飛び出す三都主や小笠原へのパスが有効に作用するが、韓国がやや下がり気味の上ボールへの集まりが早いのでなかなかシュート場面まで持っていけない。中山、鈴木のFWも体を張ったポストはいいのだが、その後に勝負に行ける所まで持っていけない。
そして前半は互いに散発的なチャンスを作っただけに終わって試合は後半へ。
後半になると韓国選手の動きがボールを奪うとすぐ前に向かうようになり、前線の4人が常時日本ゴール前に張り付くようになって日本が押し上げが出来なくなり、中田コや小笠原が守備に奔走するがその分日本のFWが孤立して反撃が出来なくなる。
20分に大久保と遠藤を投入してフレッシュな選手が入った日本がやや持ち直すものの、中盤の間延びは変わらず、チャンスはあくまで単発的なものになる。そして後半40分、名良橋が右サイドを上がってスルーパスを出したところが見事にミスパスになり、そこからイウリョンが完全なフリーで上がってグラウンダーのクロス、これをアンジョンファンが決めて韓国先制。
日本は最後は何とか攻めるも韓国に上手く守られてタイムアップ。後半からは全くの韓国ペースでシュート数も3対12の完敗であった。
●考察
結局、日本は必ず1人余るという守り方をしているので相手が前に出てくれば必然的にラインは下がらざるを得ない。
そこを中盤のテクニックでポゼッションを高め、相手を前線から遠ざけてコンパクトさをキープするという理論なのだが、この試合のように前半でペースを上げすぎたときに中盤がばててプレスが効かなくなり、最終ラインが何とかかんとか跳ね返しつづけないといけないという弱点があらわになってしまった試合だと言える。もっともそんな事は最初から分かっていたわけだが。
また、中山と鈴木というFWも個人打開能力が無いために、中盤が早いフォローをしないと攻撃にならないのだが、前半にその役目を果たしていた小笠原がペースダウンしたために攻撃面でも機能不全に陥ってしまった。
ジーコの場合、戦術によってコンパクトにするのが不可能なので、あくまでも個人能力とコンビネーションに期待しるしかないわけで、欧州組が合流してからどこまでコンフェデの試合相手に対してポゼッションをキープする事が出来るのか、FWが中盤が間延びした場面でどこまでキープして流れを取り戻す働きが出来るようになるのかがこれからの焦点になってくるだろう。
一方韓国だが、後半は日本を押し込んだもののどちらかと言うと日本の出来が落ちすぎてしまっただけで、前半は引きすぎ、後半は4-2-3-1が機能したからと言うよりいつもの韓国サッカー炸裂という感じで、決して世界4位の試合とは言えない。クロスの精度や中盤での配球能力はあまりにお粗末である。この日の日本に勝ったといって喜んではアジア最終予選で足元をすくわれてしまうだろう。
●採点