最終予選を勝ち抜く上で絶対に落とせない北朝鮮とのホームでの第1戦。当然埼玉スタジアムは日本サポーターで超満員。日本の先発はGK川口、DF中澤、宮本、田中、MF三都主、遠藤、福西、加地、トップ下が小笠原、FWが玉田と鈴木という、戦前の予告どおりのメンバー。北朝鮮はホン・ヨンジョ、キム・ヨンジュ、イ・ハンジェ、アン・ヨンハなど主力選手が軒並み出場。
試合は最初から北朝鮮がロングボールを積極的に来る。が、固さがあるのかDFラインでのパス回しが危なっかしく、日本がそれを奪ってチャンスにする展開が続く。そして2分に、右サイドからのFKを直接小笠原が決めて日本が幸先良く先制する。
しかし、これで北朝鮮も吹っ切れたのか動きが非常に良くなり、やや引きに入った日本を細かいパス回しで崩してくる。しかも、ボールを奪われた後の守備に戻るスピードが非常に早く、粘り強い1対1で日本の反撃を封じ込める。サウジアラビアの審判もボディコンタクトに関してはやや北朝鮮よりで、競り合ってはファールになって日本の攻撃が続かない。
日本はボールを持つと必ずあっという間に2人が寄ってくる北朝鮮の守りにとまどい、ボールはキープするもののパスの出しどころが無くて迷った挙句に、コンビネーションの狂いから相手にボールをパスしてしまうような危ないミスを連発する。三都主も加地もサイドを封じられて全く動けない。頼みの中澤も、相手のFWのフォアチェックを意識するあまりにパス回しに遅れを見せてしまう場面を作ってしまう。
北朝鮮はさらに29分にFWキム・ヨンス、42分にナム・ソンチョルを入れて早くも勝負に。日本は相変わらず福西や三都主、加地らによって危ないボールの取られ方が続き、中盤の守備がフォローにあたおた、そしてサイドの押し上げからクロスを入れられてしまうが、相手のシュートミスなどもあって何とか失点にはならない。それでも、前半終了間際にはいくつかセットプレイのチャンスを作るものの、もう一つ精度が合わなくて決められないまま前半は終了する。
後半になると北朝鮮はさらにペースを上げ、早いセットプレイからフリーでダイビングヘッドを飛ばされるものの川口がスーパーセーブ。そして、16分に遠藤の弱いパスから北朝鮮にワンタッチでパスを回され、左サイドの角度の無いところからナム・ソンチョルに川口のニアサイドを抜かれるゴールを決められてしまう。ここで日本はたまらず高原と中村を投入、鈴木と田中を下げて4バックの勝負に。
これで日本も少し落ち着いて、北朝鮮のペースも少し落ちてきた事もあって日本がボールをキープする。しかし高原のヘッドや加地のクロスのこぼれ球の高原のシュートもことごとく決まらない。そして33分に最後に玉田に代えて大黒を投入する。ここから日本が完全にボールを支配するも、北朝鮮はゴール前に壁を作って必死の守り。
そしてこのまま引き分けで終了かと思われたロスタイム、右サイドの小笠原のクロスをGKが弾いたところを福西がワンタッチでつなぎ、フリーでいた大黒が流し込んで奇跡的な勝ち越しゴールを決める。あとは、何とか危なっかしくも守りきって日本が薄氷の勝利を手にする事が出来た。
再三、この試合は普通にやってれば勝てる試合と書いたのだが、とにかく日本が普通ではなかった。終始プレイに固さがあって迷いがあり、落ち着いているはずの選手に浮き足立ったミスが多すぎた。相手のGKがパンチングしか出来ず、北朝鮮の自陣でのボール回しが不安定だったので、前からプレスをかけて早くクロスを上げていればもっと楽に勝てるはずだった。守備面でも、前に出てカットすれば良いところを待ち構えてしまう形が目立ち、結果的に相手のパス回しに後手を踏んでフリーの選手を作ってしまっていた。やはり、こういう難しい初戦では海外組の経験を優先すべきではなかったか。結果論ではあるとは言え、中村と高原を入れた後の戦況が劇的に改善されただけにそういう思いは強い。
とにかく、1点差でも10点差でも勝ち点は3である。日本はこのまずい試合を糧にして、次からのイラン、バーレーンと続く本番に臨んで欲しいものである。
●採点