2004年10月13日

・ドイツW杯アジア1次予選 オマーン-日本(0-1)

とにもかくにも運命の一戦、日本はGK川口、DF中澤、宮本、田中、MF三都主、小野、福西、加地、トップ下は中村、そして鈴木と高原といういつもの3-5-2で挑む。オマーンも一応の布陣は3-5-2で来た。

試合はホームのオマーンが最初から飛ばして来る。とにかく早いタイミングで前線にパスをつなぎ、そこから後ろがどんどん押し上げて分厚い攻撃を仕掛けてくる。日本は2度ほど危ないピンチを作ってしまうが何とかそこはしのぎ切る。

しかし、日本も相手の攻め上がりに中村も含めた中盤が対応せざるを得ず、オマーンはサイドがFWの位置にまで上がって3バックの一角がサイドにいるような状況の前に三都主が全く上がれず、鈴木と高原が孤立してしまってボールキープもままならない。2度ほど中村がCKを得たりするのだが、オマーンGKアル・ハブシにキャッチされる始末。

それでも30分を過ぎるとようやくオマーンのペースも落ち、日本が得意のパス回しからオマーンのDFが薄くなったところを突いたり、相手のパスミスからチャンスを得るのだが、オマーンのDFのスピードの前にFW陣が後手を踏んでしまって得点出来ない。

逆に40分過ぎから、相手の徹底したロングボールにてこずり、セカンドボールを拾われてミドルシュートを浴びてしまうのだが、どれも精度を欠いたシュートに終わり、オマーンに終始圧倒されながらもとりあえずは無事に前半を終了する。

後半になると日本もやや落ち着きを取り戻し、前半にあったポジショニングの混乱が見られなくなる。そして中村がFWに近い位置でからめるようになる。その効果が出たのか7分に、中村の左サイドへの良い動き出しからフェイクを入れてクロス、これをファーにいた鈴木が飛び込んで、日本がワンチャンスから貴重な先制点を決める。

こうなるとすっかりペースは日本のものになり、前半は慎重だった選手の動きが良くなって、高い位置からのプレスが効き始める。しかしその分、中盤で交わされると危ないシーンを迎えてしまうのだが、最終ラインも中澤を中心として落ち着いた対応を見せ、川口が飛び込んで後ろにそらしたシーンも田中がゴール内で体を張って止めるなど、浮き足立った部分を見せることが無い。

後は日本がのらりくらりとオマーンの攻撃を受け止め、4分のロスタイムも危なげなく守りきって日本が最終予選への進出を決めた。

今日の勝因は、とにかく前半のオマーンの猛攻を危ないシーンを作りながら守りきった事に尽きる。それも、今のこの状況で何をすべきかを選手が良く分かっているからであり、リードしてからの試合運びには、まるでイタリアかアルゼンチンを見るような落ち着きがあり、アテネ組やU-19とは全く違う成熟の香りを感じさせてくれたと言える。

ただ、やはり仮にも欧州でプレイしている選手の本来持っている質を考えれば、物足りない内容と結果であったのは確かで、相手が前に出てくることを分かっていながら高原と鈴木という裏を取る事が本職でないFWを起用するなど、相手を読んで対策を考える事をしないジーコ采配も、最終予選での戦いを考えればこれで安心とは言い切れないだろう。

ま、今日は結果が全てなので小言はこの辺で(笑)。ジーコ監督、選手共々お疲れ様でした。

●採点

  • 川口 6 飛び出しで危ないシーンは作ったが、後はまずまず落ち着いていた。
  • 中澤 7 高さでもカバーでも、今日もいつもの安心の出来。
  • 宮本 6 相手の身体能力に苦しんだが、カバーは落ち着いていた。
  • 田中 5.5 体で日本を救ったシーンはあったが、総じて不安定さが目立った。
  • 三都主 6 今日は守備の人。スピードを生かしたカバーリングは浦和での成長か。
  • 小野 5.5 今日はオマーンに押し込まれて存在感を見せられなかった。
  • 福西 6 前半は相手のポジショニングに混乱したが、後半は狡猾なプレイを見せた。
  • 加地 5.5 らしくないオサレプレーを連発。守備はまずまず。
  • 中村 6.5 イタリアでの成果か、アシスト以外にもキープ力で日本を助けた。
  • 高原 6 前半は相手のフィジカルに苦しんだが、シュートに持って行く嗅覚を見せた。決まってないけど(笑)。
  • 鈴木 7.5 見事な得点はもちろん、ポストプレイでも大活躍。今日のMOM。
  • 玉田 -

サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」