2002年12月3日

・FW私見

高原がハンブルガーSVの練習に試験参加すると言うニュースがちまたを賑わしている。どっちにしても、もはやJに留まるべき選手ではないので移籍話は大歓迎なのだが、果たしてブンデスリーガでいいのかどうか。

今まで日本代表候補発表の時に、やれ吉原を入れろとか山下を入れろ、鈴木や柳沢は点取ってないからダメと言われつつ、結局は柳沢と鈴木は選ばれ続けてきた事に不満を覚えていた人は多いだろう。私は、それはFWに「しきい値」というものが存在するからだと思っている。

前にも、現代サッカーはいかにゴール前でフリーの人間を作るかがカギだという意味の事を書いたが、基本的にマークされる立場であるFW自身がフリーになるには、「DFとの1対1に勝つこと」しかない。Jで結果を出しているのに候補どまりな選手が多いのは、世界では1対1のレベルが飛躍的に上がるために、何か通用する部分が無いと全く無力化されてしまうからだと思っている。いくら友達同士で相撲の強弱を競っても、土俵の中では貴乃花に勝てるわけがないのと同じようなものだ。

1対1で勝つ方法としては、まずビエリやアドリアーノのようなフィジカルと高さで勝つ方法、次にアンリやロナウドのようにとにかくスピードでぶっち切る方法。そして、中田も誉めたモンテッラやバッジョのようにテクニックで勝負する方法。この3つが現在の主流だ。日本の場合、鈴木はフィジカルで、柳沢はスピードでとりあえず勝負できた事が大きいのだろう。もっとも本当のトップレベルではこれらを兼ね備えているのが当たり前なのだが、日本はたった1つが世界レベルに届いているかどうかの人材しか無いのだから仕方ない。

さて高原である。Jならともかく欧州ではこれらの方法では無理だろう。となると最後の方法、ポジショニングで勝負するしか無い。マリーシアを総動員してDFを騙し、一瞬のキレで裏を取り、来たチャンスは必ずモノにする。しかしこのタイプの難しいところは、とりあえずヘッドやポストなりで攻撃の基点となれるフィジカルタイプや、スピードをちらつかせてラインを上がれなくしたりサイドに流れてクロスのチャンスを作れるスピードタイプとは違い、点を取れなければ全くの役立たずになるという事だ。このタイプの代表であるピッポが不調でバッシングに遭った事は記憶に新しい。

そう考えると、ポジショニングも決定力もまだまだピッポに遠く及ばない今の高原では、ブンデスのレベルではかなり前途は厳しいと言わざるを得ない。もちろん将来的なポテンシャルとしては十分あるだろうが、途中から出場してアルゼンチン戦並みの少ないチャンスで、何より得点という結果が出せるかどうか。努力、環境適応、そして幸運の全ての要素が必要だ。


サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」