日本は出場停止の稲本に代わって中田コ、そして中村がおそらく怪我で欠場、代役に小笠原が起用された以外は過去2戦と同じメンバー。
日本は最初こそ細かいコロンビアのパス回しに振り回される場面があったのだが、すぐにラインコントロールの調節で相手のクサビのボールをカットするような守備でうまく対応し始める。よく見ると中盤と綺麗な2ラインを形作っていて、プレスの連動的な動きと合わせてちゃんとしたフラット4守備になって来つつあり、この辺は山本さんが入った効果が出ているのかもしれない。
攻撃面でも、DFラインと中盤、そして中盤と前線との間を縦にワンタッチパスを回して薄いサイドへ展開するような組み立てが浸透していて、相手のプレスの狙いをうまくはぐらかす効果があったように思う。
それでも前半は中田のフリーのヘディングや大久保のドリブルからのシュートのシーンはあったもののコロンビアのマークもさすがに固く、主導権をやや握りながらも決定的な場面はあまり作れなかった。
後半も互いに拮抗した展開が続くのだが、20分を過ぎると日本の中盤の運動量が落ち始め、リズムが少し悪くなり始める。その23分に、宮本と遠藤の軽いパス交換をさらわれてエルナンデスに決められて失点してしまう。
その後は日本も松井と奥を投入して三都主を中心に攻めるのだが点は決められずに予選敗退。日本は良い試合をしながらも数少ない決定機を決められずに惜しい試合を落としてしまった。
中田や大久保に疲労の色が濃くて実力が発揮できず、今日初めて入った選手もあまり出来が良くなく、コンビネーションを形作る時間も無かった事が響いて機能したとは言いがたかった。つくづく、この良いチームの形がコンフェデに入ってから出来上がってしまったという無駄な時間の使い方が悔やまれる大会であったように思う。
●採点
フランスは初戦でコロンビアに勝ってしまったために、負けなければいいやというメンタリティが充満していたようで試合を通じて非常にプレスが甘く、中村のFKの場面でも何の策も講じず、サンドニの絶望的なまでの凄みを知っている者としては拍子抜けした感は否めない試合だった。ちょうどハッサン二世カップでのフランスのような感じか。審判のPKプレゼントもペースダウンのアシストになってしまった。
しかし、気の抜けたシャンパンが相手だったとは言え、日本も90分間通じてコンパクトでバランスの良い布陣をキープしていて、守備で大きな破綻を見せなかったのは収穫だったと言える。確かに最初はおっかなびっくりで慌てる部分はあったのだが、試合が進むにつれて選手が1対1に自信を持ってきたのも良かった。注目のラインディフェンスについては今日のカメラワークではあまり良く分からなかったのだが、ゴブの得点シーンではっきりとフラットになっていたのが見えてしまった(笑)。
攻撃については、後半になってフランスが疲れてからは良い組み立てはあったものの、それまでは細かいパスや一発のパスでの崩しが多くて、サイドチェンジやオーバーラップなどの大きい展開が無いのが物足らないところである。中田にマークを引きつけておいて中村、高原と大久保のコンビネーションというところは形が出来てきているだけに、もう一段のレベルアップが必要だろう。
第3戦の展開についてだが、裏のNZ対コロンビアが1-3になって得失点差で日本がコロンビアを上回ったために、引き分けでも決勝トーナメントに進めるという有利な立場になった。今日のような落ち着いた守備で相手の前線のスピードを殺し、緩急をつけた試合運びが出来れば十分決勝トーナメントに進める可能性がある。是非、今度は本気のフランス相手に戦って欲しいものである。
●採点
残念ながら日本のチーム力を測る上では何の役にも立たない試合であった。
NZはとにかく全てにおいて緩くて遅かった。守備では現代サッカーとは思えないほど中盤のマークが緩くて高原や中田にポストプレイから反転されてしまい、中盤からドリブルを仕掛けるとただズルズルとプレッシャーにもならずにラインが下がるだけ。中田のミドルシュートも練習のようなものだったろう。
攻撃ではサイドから崩すと言う意図はあったのかもしれないが、判断も動き出しも遅くてカウンターの場面でボールを持ってもしばらくして後ろに返すだけ。さらに中盤で簡単なミスを連発してはボールを奪われる始末で、日本はプレスをかけずに待っているだけでボールを取れるのだから楽だ(笑)。
と、NZのふがいなさばかり書いてしまったが、日本については非常に気になる事が一点。それは、せっかく前半は高いラインからのプレスが効いて良い形の攻めを見せていたのに、おそらくジーコの指示なのだろうが後半は例の一人余る守備にしてしまった事で中盤が間延びし、再三NZにセカンドボールを拾われる場面が増えてしまった事である。おかげでFWもすっかり存在が消えてしまった。
山本五輪監督が守備コーチになるという報道があったようだが、一人余る守備=間延びにつながってしまっている現状では、根本から守備コンセプトを変更しない限り改善は難しいように思う。
また、交代が一人も無かったが、次のフランス戦が中一日という事を考えれば動くべきではなかったか。ジーコは次も同じ形と言ってるようだが、力関係を考えればフランス戦はある程度捨ててコロンビア戦に注力すべきなのは明らかで、戦略的な意図からも疑問に思わざるを得ない。
ともかく、ラインディフェンスと一人余る守備とでは明らかにチーム状態に差が出ているのは事実であり、ジーコの守備のポリシーとの間でどう調整を取っていくのかが残り試合のカギを握りそうである。
●採点