五輪切符を獲得する上で非常に重要な第一戦。日本はGK林、DFは那須、闘莉王、菊地、MF森崎、今野、鈴木、徳永、トップ下松井、2トップは平山と田中という布陣。
日本は開始から前に出てくるバーレーンの攻撃に対し、日本は今野を中心としたプレスが良く効き、右サイドのスペースを徳永が抜け出してチャンス一歩手前の場面を多く作るものの、クロスやラストパスなど日本の課題であるラストプレイの精度に欠き、たまに平山のヘッドなどの決定的なチャンスがあったものの相手GKの好守もあって得点出来ない。
15分ごろからはバーレーンが引いてしまった事もあって日本のペースも落ち、それに従ってグラウンダーのミスパスが増えてカウンターやセットプレイからピンチを迎えるようになる。平山と田中の2トップは相手の激しいマークに消され、特に田中は深い芝にボールコントロールがままならず、ここまで全くいいところが無い。中盤もサイドチェンジなどの大きい展開が無いので、どうしても狭い中での苦しいパス回しになって結局ボールを取られてしまう。
前線に1人残して全員引き倒すバーレーンに対し、日本も3バックの1人が攻撃参加して何とか打開しようとするものの、肝心の部分で攻撃の息が合わずになかなか決定的なチャンスを作れないままに前半終了。
後半からも前半のペースは変わらず、日本は15分に菊地に代えて石川を投入して徳永が右CBに下がる。石川は最初こそ攻撃にからむものの、全体ともう一つ息が合わずにペースを大きく取り戻す事が出来ない。25分ごろからは互いに運動量が落ちてスペースが空くようになるが、日本もあまり山瀬を投入した効果が出ず、バーレーンも最終ラインの守備が堅くて決定的なチャンスを作るに至らない。かえってバーレーンのカウンターからピンチを作られるものの、相手のシュートミスや林の好セーブに救われる。
40分からは田中に代えて高松を投入して日本はパワープレイに出るのだが、相手の好ブロックもあって得点出来ないままに試合終了。日本はとりあえず勝ち点1は手にしたものの、守備で集中力を欠いた場面もあって運の無さだけで片付けられない試合をしてしまった。
今日の日本は、特に初戦という固さと芝に戸惑った面が多く、高さに勝てる平山を擁しながら終始グラウンダーのパスにこだわってしまうなどして、日本の長所をほとんど生かすことが出来なかったという点でゲームプランがどうだったのかという疑問が残ったと言える。また、組み立ての面でも今野と鈴木のコンビの欠点であるサイドへの展開力の低さも、このゲームにおけるクロスボールの少なさに表れてしまったようにも思う。今後、相手の良さをを消す事に集中してくるだろう相手に対してどう対応するかの応用力が問われて来るのは間違い無いのではないだろうか。
●採点
UAEが勝っているだけに絶対に勝ち点3が欲しい日本は、前節のスタメンから菊地が下がり、右CBに徳永が入って右SHに石川が入るという布陣。レバノンはエースのアトゥイがUAE戦でレッドカードで出場停止、そしてスタメン2人も警告によるペナルティで欠場と、日本には有利な状態で試合を迎えた第2戦。
日本は試合開始から激しいプレスで、2分に平山、3分に森崎とシュートを浴びせるものの得点出来ないままに、10分を過ぎて試合を落ち着かせてしまう。しかも相変わらずつまらないパスミスや競り合いのミスからセットプレイを与えてしまうなど不安定な状態は変わらない。それでも、13分には相手のゴール前で奪ったボールを3度シュートするものの決められない。
20分を過ぎると相手も引いてしまい、平山の決定的なヘディングもバーに嫌われ、これはバーレーン戦と同じ展開になるのかと嫌な予感がよぎり始める。しかし30分に、早いリスタートから平山が頭で落としたボールを裏に抜け出た田中が頭でゴールに流し込み、日本はようやくこの大会の初得点を決める。そして33分にはロングボールをこれまた平山が頭でつなぎ、田中のクロスに飛び込んだ鈴木がダイレクトで決めて2点目。
当然レバノンは攻めに出てきて、その分裏にスペースが空くため高い位置にいる石川を起点として日本はカウンターからチャンスを作ってこれは大量得点を取るかなと思ったのだが、前に出たところをやはりミスでボールを奪われてはかろうじてクリアという場面を増やしてしまって完全にリズムに乗れないままに前半終了。
後半からは日本は平山に代えて高松を投入。試合は当然レバノンが攻める展開に。その分日本はスペースを得て逆襲の機会をたくさん作るのだが、サイドの上がりがもう一つタイミングが遅く、ボールを回している割に決定的なチャンスを作る事が出来ない。
しかし28分、右サイドを抜けた田中からのクロスを高松がワントラップからGKの股間を抜くシュートを決めて、日本は勝利を決定的にする3点目をゲット。その後は前田や坂田を投入するも、やはりパス回しに終始するリズムは変わらない。それでもロスタイムには闘莉王の上がりからこぼれ球を拾った石川がミドルを決めて、日本は4-0で試合を終える事が出来た。
今日は結果だけ見れば得失点差+4で最低条件であった3点差よりも良い結果を残したと言えるが、つまらないミスでバタバタする場面も多く、また日本の課題であるサイド攻撃もあまり向上したとは言えず、結果ほど内容に満足できた試合とは言えなかったように思う。
この勝ち点3はあくまで最低条件であり、次のUAE戦を落としたのではこの勝利も全く無意味なものになってしまう。後半にスペースが出来たにもかからわず2点しか取れなかった事をしっかり反省しなければ、日本ラウンドも安心して迎えることが出来ないのは確かだろう。2戦目にしてスタメンを酷使せざるを得なかった日本にとって、次のUAE戦が真価を問われる試合になる事は間違い無い。
●採点
UAEとは勝ち点2差で負けてしまっては五輪出場に赤信号が点滅する天王山。日本はGK林、DF那須、闘莉王、茂庭、MF森崎、今野、鈴木、徳永、トップ下山瀬、FWが田中と平山。UAEはマタルとムバラクはしっかり先発先発しているのだが、DFの要ムハメドが怪我で欠場している状態。
試合はホームのUAEが前線から激しくプレッシャーをかけ、日本も相手のフラットなDFの裏を狙って互いにチャンス一歩手前まで行くと言う激しい展開で始まる。日本は序盤こそ中盤のプレスが効いてボールを奪う事が出来たのだが、そこからの相手の寄せも早くてシュートの場面までなかなか持っていけない。頼みの平山も今日はポストプレイが安定せずに山瀬にうまくつなげる事が出来ず、中に軽く入れたボールを奪われて日本はリズムを徐々に失って行く。
UAEは最初こそ日本のプレスに戸惑う場面があったものの、マタルやFWが交互に引いてきて日本のボランチがプレスのために前に出た後のスペースを使われ、そこからの早いパスが日本のバックラインを押し下げてしまう。
それでも30分には徳永の突破からのクロスを田中がフリーでボレーを打つ場面があったものの、田中がダフってしまってシュート失敗。ここからUAEの大攻勢が始まる。UAEはアーリークロスをひたすら上げ始め、日本はDFラインに人数はいるものの足が止まって並んでいたりかぶる場面が多く、CKから林がかぶってしまう場面もあり、さらにはゴール前でのFKも与えたりするのだが、何とか運も味方して失点を免れる。
それでも、UAEは攻撃の手を緩めず、日本はDFラインが下がってしまって中盤にスペースが空いてしまい、今野や鈴木が遅れてバイタルエリアから自由に攻撃をされてしまって押されっぱなし。それでも何とか耐え抜いて前半終了。
後半から、日本は前半消えていた平山に代えて高松を投入。その高松の活発な動きから日本はエンジンがかかり始める。UAEは全体的に運動量が落ち始め、日本もサイドから攻撃を繰り出せるようになって来る。しかし、UAEも高いラインをキープして、組織的な守備で最後の部分で日本の攻撃を弾き返す。
そして日本は18分に山瀬に代えて松井を投入し、空いた中盤のキープから後ろからの押し上げでUAEを押し込み始める。それでもクロスやコンビネーションがもう一つ合わず、接触プレイでことごとく相手に有利な笛を吹かれてしまい、なかなか決定的なチャンスを作れないままに時間は過ぎてしまう。しかし40分、左サイドの崩しから田中がPA内に突破し、シュートを相手GKが弾いたところを高松が押し込んで日本は喉から手が出るほど欲しかった先制点を奪う。
日本はその2分後にも、がっくりと気落ちしたUAEのDFのクリアミスを拾った田中がミドルシュート、これを相手GKが弾いたものの高く上がったボールがゴールに転がり込んで日本は決定的な2点目を決める。あとは何とか守りきって日本は大きな大きな勝ち点3をゲットした。
今日はとにかくホームで波に乗るUAEの攻撃を運も味方してしのぎきった事が大きかった。平山がだめだった分を高松がカバーし、後半に相手の運動量を上回った事が勝ちにつながった。山本監督のゲームプランが見事にはまった事と、選手の頑張りが実を結んだ一戦だった。しかしこれでゴールを切れたわけではない。日本ラウンドでのあと3戦、今の実力からすると最終戦での直接対決までもつれ込むのは間違いなく、余力を残した状態で最終決戦を迎えられるように万全の準備を期待したい。
●採点