日本は前の試合で120分戦った上に怪我人が出たにもかからわず、相変わらずの不動のスタメン(苦笑)。
日本は開始直後からどうにもDFラインが低く、また1トップのポストからサイドを狙うバーレーンの攻撃にもうまく対処できず、日本も攻めるのだが同じくらいゴール前まで攻められる嫌な展開。案の定、7分に福西の軽率な守備で右サイドを抜かれ、PAの中にいたフバイルにワントラップでマークについていた田中が抜かれ、ゴール右隅に先制点を決められてしまう。
そこから反撃・・・と行きたいところなのだが、疲労からか日本の押し上げが弱く、前線に飛び出すのは玉田一人だけで、あとはタラタラ歩いては足元にパスを出し続けるのみ。それでも20分を過ぎるとバーレーンが足を止めたベタ引き状態になり、三都主のサイドからのクロスやドリブルからチャンスを作るのだがFW陣が得点出来ない。
そして40分に、ボールを奪った後に進路を塞がれた遠藤が相手の顔にかけた手を報復行為と取られてしまって一発レッドで退場してしまう。10人になった日本は田中に代えて中田コを入れるものの、さらにペースが落ちてボールがつなげなくなり前半はそのまま終了する。
後半からは小笠原が福西に代わって交代し、早速3分に小笠原がからんだCKから中村が蹴ったボールを中田コがドンピシャヘッドで同点、10分には中田コからの長いスルーパスに反応した玉田がドリブルで左サイドを突破し、角度の無いところから見事なシュートを決めて逆転する。
これで日本は安心してしまったのか、いくつかカウンターのチャンスを作った後はダイナミズムが失われてしまい、26分に小笠原の軽率なバックパスからフバイルにスルーパスを通されてしまって同点に。そして40分にはカウンターからナザルに逆転ゴールを決められてしまう。
これで万事休すかと思われたのだが、ロスタイム突入直前に玉田から鈴木とつながったボールを三都主がダイレクトでクロス、ここに上がっていた中澤がダイビングヘッドで劇的な同点ゴールを決める。そして試合はまたも延長に。
延長突入直後の3分、長いフィードをキープした玉田が相手DFと競り合いながら裏へ抜け出し、そのままスピードで振り切って落ち着いた素晴らしいゴール! そこからは互いに足が止まった殴り合いになり、日本も緩い芝に足を取られて危ないシーンを作るのだが、ここまで寝ていた川口がようやく覚醒してナイスセーブを見せ、セットプレイのこぼれ球をフバイルが鈴木張りのシュートミスをしてくれて何とか守りきり、日本は2大会連続の決勝進出となった。
2試合続けての劇的な勝利となって一般受けする試合になったのは確かだが、好調時と比べるとあまりに選手の動きが重く、途中出場で中田コや小笠原が入って機能性を取り戻しただけに、何故コンディションに配慮した選手起用が出来ないのか本当に理解できない采配である。また、投入する選手が鹿島ばかりというのも・・・もうこんな事はいい加減言い飽きたけど。
とにかく、バーレーンがそれほど強くなかったとは言え、アウェイのスタジアムと審判とジーコの酷使といった逆境でここまで勝ち抜いた選手は本当に見事だし、得がたい経験と成長につながっているのは間違い無い。これがひどい怪我につながらずに、コンディションを保ったままで残りの予選に臨んで欲しいものである。願わくば、二次予選がセントラル方式になりませんように・・・(苦笑)
●採点
気温40度と言うとてつもない気候でのイランとのグループ1位をかけた争い。日本のスタメンは以下略(笑)。イランはアリ・ダエイの1トップをマハダビキアとカリミがフォローする3-4-3のような布陣。
試合は高温にもかからわず、最初から互いに攻めあう激しい展開。イランはそれほど高い位置からプレスはかけないものの、スピードのあるサイドからの攻撃でゴールまで迫り、日本はようやく気候に慣れて来たのか高い位置からのチェックが効いて今までのように簡単にカウンターを許さない。
日本は15分ごろから動きが重いイランの選手の間を軽快にパスを回せるようになって良いポゼッションを見せるようになるのだが、玉田と鈴木が相手の激しいチェックにボールがキープ出来ず、中村も厳しくマークされてボールを持っても前に運ぶ事が出来ずにバックパサーと化してなかなかシュートまで持って行けない。
30分過ぎからは日本がボールを奪ってからの早いフィードから玉田の飛び出しで、イランがミドルや1対1の個人突破からチャンスを作るのだが、これもなかなか決めきれずに前半は終了する。
後半からは互いの運動量が落ちた分さらに日本のポゼッション傾向は強くなるのだが、日本の選手に第3の動きが無いためにイランを完全に崩す場面はほとんど無く、かえって守備が淡白になったところをイランのカウンターに脅かされる場面が増えてしまう。
25分からはオマーンがタイをリードしているだけに日本に負けるわけには行かないイランが日本陣内でプレイする時間が増えるが、川口の好セーブもあって何とかイランの攻撃をしのぎ切る。日本も鈴木に代えて本山を投入するが、周りの動きが急速に悪化した事もあって効果的な働きは出来ないまま。そして35分からは互いに完全に足が止まり、イランも引き分けでもよいとの姿勢を固めて全く前に出てこなくなった事もあって、日本がひたすらボール回しをしたまま試合は終了した。
グループ1位をゲットしたという意味では結果には満足すべき試合ではあったが、こと内容はと言えば、運動量のアップとラインの修正でプレスが復活したものの、トップ下以上の3人の攻撃に全く怖さが無いしサイドの攻撃にもやはり工夫が感じられず、さりとて強烈なミドルシュートがあったわけでも無く、改めて得点源としての久保の存在の大きさを痛感した試合になった。また、0-0で終わってよかったとは言え交代枠も本山一人分を使ったのみで、勝利を手にするための交代と言うよりはただ出したかっただけにしか見えない策の無さも気になった。
これで決勝トーナメントの相手はヨルダンになったが、韓国と引き分けてグループを2位で突破した相手だけにイランに大きく劣るとは思えない。ここまで全てスタメンをローテーションせずに戦ってきたジーコジャパンだが、これからの厳しい戦いをそれで勝ち抜くことが出来るのかに注目である。
●採点
アジア1時予選のアウェイ戦を控えて、勝利しかも内容で圧倒したいこの初戦。日本はGK川口、DF中澤、宮本、田中、MF三都主、遠藤、福西、加地、トップ下が中村、2トップが玉田と鈴木と言うキリンカップと同じ布陣。
試合は、開始から10分は両サイドから攻める場面を日本が何度か作るものの、中に飛び込む人数が少なかったり詰める動きが少なくて相手に簡単にカウンターを許したりして、あれれ?と思っているうちにどんどんリズムが悪くなり、それからはオマーンがペースを握ってボールを支配される展開が続く。
日本は暑さと深い芝のせいか選手全員の動きが非常に悪く、守備ではDFラインが下がり過ぎて中盤で全くプレスがかからずにオマーンに簡単に突破を許してしまい、攻撃ではサイドが全く前に出られず、中盤でも2人目、3人目の動きが無いために日本得意の早いタッチのパスが回せず、たまに前でボールを持てても孤立してボールを奪われてしまう。しかもマークに付き切ることさえ出来ないために、30分までに少なくとも2度の決定的なチャンスを作られる始末。
しかしラッキーにも日本が先制点を奪う。33分に左サイドに飛び出した遠藤のボールキープからクロス、これをオマーンがクリアミスして前にボールがこぼれたところを拾った中村が左足アウトサイドでカーブをかける芸術的なシュートを決めてしまう。これで日本もリズムを取り戻すかと思ったが、それもほとんど長続きせず、残りの前半はオマーンにひたすらボールを回されて何とかかんとかハーフタイム。
後半になっても試合のペースは全く変わらず、と言うかさらに状況は悪くなり、DFラインがほとんど上がらないためにセカンドボールを全てオマーンに取られてはサイドに展開され、日本はただべったり引いて守り倒すのみ。それでもまだ厳しく守っているならいいのだが、1対1であっさりとあきらめて突破されるなど淡白極まりない。攻撃も、ゲームが止まると全ての選手が歩いているような有様なので、カウンターを仕掛けられる場面すらない。
ようやく日本は24分に玉田に代えて本山を投入。そこからはオマーンにも疲れが出て中盤においしいスペースが出来たにもかからわず、カウンターの場面でも全くフォローが無くて本山も孤立するのみ。終了間際には無数のピンチの場面を迎えるものの、オマーンの決定力不足もあって日本は内容からすると全くの僥倖と言える勝ち点3を手にした。
選手全員のコンディションが悪すぎたというエクスキューズがあったとは言え、結局このチームには戦術のベースが無くて選手個人個人の動きで攻守を作り出しているために、常に高いフィジカルコンディションが要求されるという事がはっきり分かった試合だったように思う。そんなチームに今後はインドやオマーンでの暑いアウェイ戦が待っているわけで、それを考えると、前回の課題を消化したどころかさらに穴を広げてしまったとしか言い様の無いこの内容は非常に不満、それどころかこのままでは1次予選敗退の可能性が高まって来たと感じざるを得ない。
この暑いアジアカップの中で、この悪い流れをサブメンバーの起用やコンディショニング管理で立て直して来れるのかどうかを、とりあえず見守るしかない。
●採点