2004年1月11日

・理想の2006年W杯日本代表

100万ヒットをゲットされた「てとらぽっと管理人」様からいただいた「理想の2006年W杯日本代表」というお題だが、今だから白状するが、お題を見た時にまず頭をよぎったのは「これは非常に困ったな」という事だった(笑)。

だいたい私は、サッカー雑誌の特集で記者たちが良くやっている、「私ならフォーメーションをこうしてここに誰を置きます」という類の記事をほとんどまともに読んだ事が無い。サッカーとはまずコンセプトありきであり、コンセプトをベースとしてフォーメーションと人選がなされ、コンセプト自体も自分と相手の力関係によって時々刻々と変わって来るものである。

ストイチコフやクーマンもいないのにクライフを呼んでバルサ黄金期のサッカーが実現できたり、相手がインドでもフランスでも4-2-3-1でありさえすれば勝てると言ったような奇想天外な想像力は、私は残念ながら持ち合わせていない。想像が可能だとしたら、2006年春の時期において、監督が誰であり、選手はどのクラブにいてどんな活躍をしているか、まで決まっている段階だろう。

とは言え、プレゼントでどんなコラムでも良いと言った以上はこの場でいくらブチブチ言っていてもただの逃げである。そこで、「理想の」と付いた題を「仮定条件が沢山付いた状態での現実的な」と無理やり置き換えて書いてみることにする。多分、読んでいてあまり面白くないに違いないが、しばらく辛抱してお付き合いいただきたい。

まずコンセプトである。日本選手は1対1が弱くて背も低いため、守備はどうしても高い位置から人数をかけたコンパクトプレスにならざるを得ない。攻撃面でも、パススピードが弱くてFWの能力が劣っているため、コンパクトなゾーンを保ちつつショートパスをつなぎ、FWに限らずゴール前でフリーになった誰かがシュートを打つ、といった形からでしか点は取れないだろう。ただ、いくらコンパクトな戦術であっても、トルシエのチームやパルマのようにポジションを守った規律サッカーでは文句を言う人たち(特に黄金方面)が続出する(笑)。

そこで、現在最も良いサッカーをしているチームの1つであり、同時に求められるコンセプトに最も近い戦術を取っていると思われる、稲本が所属するプレミアリーグのフルハムをベースにして、2006年の日本代表を考えてみる事にする。当然監督はフルハムのクリス・コールマンである。

フルハムのサッカーの売りは、コンパクトな守備でボールを奪い、そこから1トップのサハが幅広く動いたポストプレイで攻撃の起点を作り、中盤はシンプルなパス回しを基本に、要所をマルブランクのドリブルやボールキープで打開し、SBボニセルの攻撃参加によるクロスを織り交ぜるスピーディーな攻撃である。フォーメーションは4-5-1だが、中盤は流動的で右SHのマルブランクや左SHのボアモルチが左右自在に動き回り、トップ下のクラークは攻撃参加よりもSHの飛び出しに空いた穴を献身的に埋める役割が多い。

これを代表のメンバーに当てはめてみると、まあGKは楢崎でいいとして、FWはドイツで一皮剥けてる(はずの)高原もしくは久保。サハタイプに近いのはどちらかと言うと久保の方だが、高原の方がまだスタミナやポストプレイは確かなので、久保はスペースが出来る後半に投入する形がいいだろう。サブは黒部と、フィジカル強化が間に合えば平山を入れてみたい。

トップ下のクラーク役には中田を置く。個人的にはボランチとして大成して欲しい中田だが、攻守に幅広く動き回ってゴール前に詰めるというフルハムのトップ下としての適性ではクラーク以上だと言えよう。もちろんここは小笠原でも構わない。

そしてフルハムの一番のキーマンであるマルブランク役は、ずばり大久保である。運動量的に不安はあるが、キープ力と突破力の両方を兼ね備えた人材は今の日本では大久保以外に存在しない。次点としては小笠原や石川あたりであろうか。

左SHは難問である。ボアモルチが用意できればいいのだが、2006年に主力となりそうな日本の中盤の面子ではどうしても黄金から選ばざるを得ない。従って、ここは小野か中村を配する事にする。両者ともボランチが出来る人材なので他の中盤とうまく流動すれば、突破力には欠けても何とかパスワークで攻められるだろう。あくまでボアモルチにこだわるなら、かなり小粒になるが柳沢という選択肢もある。

ボランチはフルハムだから当然稲本は確実として(笑)、稲本の攻撃性を生かすためにももう一人は守備的能力の高い戸田や福西を選びたい。稲本が成長すれば相棒には小野を置きたいところではあるが。あとは中田コや遠藤あたりか。阿部あたりはもう一皮剥けないと。

CBにはスピードと高さのコンビという事で坪井と中澤。ラインコントロールやカバーリングという点ではまだ宮本や森岡の方が上なのだが、4バックである事を考えるとやはり対人の強さがあった方が望ましい。

最後にSBである。フルハムでも唯一機能性に欠けているのが右SBなわけで、世界的に見てもこのポジションは本当に難しい。それにしても人がいない・・・ああ人がいない人がいない。と575でまとめていても仕方ないので話を進めると、SBのどちらか一人はボニセルのように積極的に攻撃にからむ役割が欲しい。SBの条件であるスタミナとスピード、1対1の強さという点ではやはり山田と三都主を選んでしまいたくなるのはジーコでなくても分かる。ここはコールマン監督(笑)が、山田には上がるタイミングとボールを持ってからの判断、三都主にはDFとして中に絞った時のマーキングについてみっちり仕込んでもらうという事でお茶を濁す。あとの候補は三浦、山田卓、加地ぐらいか。新井場、角田、根本、駒野、徳永あたりはもっと精進すべし。

以上が私の考える「理想の2006年W杯日本代表」である・・・って自分で読み返してみてもやっぱり全然夢が無いっすね(笑)。まあ頼んだ相手が悪かったと思ってかんべんしてください。

W杯まで早くもあと2年ですが、今年こそ代表に夢が見られますように・・・


サッカーコラムマガジン「蹴閑ガゼッタ」