大津高校は、プレミアリーグWESTで4位という結果を出し、準決勝は不戦勝で青森山田に比べてコンディション的に有利だったはずで、まさか0-4という大差でシュート0本という結果に終わってしまうとは予想外だった。
その大きな要因になったと思われるのが、青森山田と対戦した東山にしても高川学園にしても、本来の4バックではなく5バックで臨んだのに、大津高校はそのまま4-4-2のフォーメーションで戦った事だろう。
大津高校の山城監督は、その理由として「うちのダブルボランチで勝負したいというのが、私たちの楽しみなんです。森田も薬師田も4年後にはJリーグに入って、宇野くんや松木くんと戦わなければいけません。だから勝負させたいと思って、いままでのシステムで臨みました」と語っていた。
しかし試合が始まってみると、大津高校の中盤は青森山田の早いプレスの前にほとんど前を向いてプレイが出来ず、前半途中からパスを繋ぐことを諦め、攻撃はほとんど中盤を省略した前線への放り込みになってしまった。
それでも大津はセットプレイの雨を浴びながら何とか耐えていたのだが、前半37分にCKからニアに飛び込んだ丸山にヘディングを決められ青森山田が先制。さらに40分、ピッチ中央でのFKから左サイドを抜け出し、クロスを名須川が押し込み、電光石火の追加点。
後半は大津高校が攻め込み、いくつかセットプレイのチャンスを得るがシュートには至らず。逆に10分にはロングスローから青森山田エースの松木がヘッドで押し込みあっさり3点目。
後半25分過ぎになって、ようやく大津が中盤でボールを持てる時間を作れるようになるが、そこから2本パスを繋ぐ間に青森山田が襲いかかってボールを奪い返すので、シュートまで持って行くことが出来ない。30分に和田がマルセイユルーレットで切れ込むもシュートまで至らず。
逆に後半32分、左サイドへの展開からクロスがDFの足に当たってコースが変わり、それを青森山田の渡邊がニアで合わせて4点目。これで完全に勝負あり。結局大津は最後までシュートを打つ事無くそのまま0-4で試合終了、青森山田が予想外の圧勝で優勝を飾った。
大津も技術はあるのだろうが、青森山田に時間とスペースを全く与えてもらえず、自分たちのプレイが出来た時間は皆無。かつて、技術はあるのに中東や韓国のプレスに負けてあっさりアジア予選で敗退する日本ユース代表を思い出させるような、フィジカルと走力で粉砕された格好になってしまった。果たして来年は青森山田に対抗できるチームは生まれるのだろうか?