東京五輪は無観客が決まったのに、こちらはウェンブリー・スタジアムにマスクを一切しない観客が4万人集まったユーロの決勝。
イタリアのフォーメーションは4-3-3、GKドンナルンマ、DFエメルソン、キエッリーニ、ボヌッチ、ディロレンツォ、MFヴェッラッティ、ジョルジーニョ、バレッラ、FWインシーニェ、インモービレ、キエーザ。イングランドは3-4-3で、GKピックフォード、DFマグワイア、ストーンズ、ウォーカー、MFルーク・ショー、ライス、フィリップス、トリッピアー、FWスターリング、ケイン、マウントのスタメン。
試合は前半2分にいきなり動く。イタリアのCKからカウンター、ケインのポストから右サイドへ大きく展開、左サイドでフリーになっていたルーク・ショーがボレーでドンナルンマのニアを抜き、イングランドが先制する。イタリアも7分にキエーザがゴール前でFKを得るもインシーニェのキックはバーの上。
イタリアは徐々に中盤のポゼッションで優位に立つが、イングランドは3トップには3バックを当て、WBがサイドのスペースを埋めていて、高い位置で基点を作れない。攻守でエメルソンとディロレンツォの両SBの存在感が薄い。
逆にイングランドはジョルジーニョの両脇のスペースを使ったケインのポストプレイが非常に効いていて、イタリアがケインをマークすると、今度はスターリングやマウントがポストに下がり、イタリアの守備を上手く交わしている。
前半36分に、イタリアはキエーザが2人にマークされながらもドリブルで突破、左足のシュートは右に外れる。直後にイングランドもロングボールにルーク・ショーが飛び出し、キエーザの守備を振り切りクロスもわずかに合わず。
後半早々、イタリアはゴール前正面でFKをゲット、しかしインシーニェのキックは右に外れる。9分にイタリアはバレッラ、インモービレを下げてクリスタンテ、ベラルディを投入し、インシーニェがポストに下がってクリスタンテが高い位置を取ってシャドー気味にプレイ、攻撃の流動性を高める策に出る。
後半17分にキエーザが細かいドリブルからシュートはピックフォードがかろうじて弾き、イングランドも19分にCKからストーンズがヘッドもバーの上。すると後半22分、CKからニアでフリックしたボールをキエッリーニが潰れ、ヴェッラッティのヘッドはピックフォードが防いだものの、ポストに当たったボールをボヌッチが押し込みイタリアが同点。
ここでイングランドはトリッピアーに代えてサカを投入、ライスを下げてヘンダーソンでフォーメーションを4-2-3-1へと変更する。が、前半とは逆にイングランドがインシーニェのポストを捕まえきれず、イタリアのペースが続く。が、40分にドリブルが切れていたキエーザが足を痛めてベルナルデスキに交代、そのままスコアは動かず延長戦へ。
延長6分、イタリアはヴェッラッティを下げてロカテッリを投入、イングランドはマウントに代えてグリーリッシュを入れる。延長前半14分に、エメルソンのクロスにベルナルデスキが飛び込むもわずかに合わず。そして延長後半へ。
後半3分、イングランドのセットプレイからのクロスにストーンズが飛び込むが、ドンナルンマが飛び出して弾く。6分にはPA内でスターリングがドリブルで仕掛けるがキエッリーニが何とかカバー。イタリアはPK戦に自信があるのか、あまり後半は前に出て来ない。
イングランドは延長後半終了間際に、ヘンダーソンとウォーカーを下げてラッシュフォード、サンチョというFW2枚投入という思い切った策に出るが、結局120分で勝負はつかずPK戦へと突入する。
先攻のイタリアはまずベラルディが成功、イングランドもケインがしっかり決める。2人目はベロッティがピックフォードに防がれ、マグワイアがドンナルンマの逆を取る。3人目はボヌッチがピックフォードのタイミングを外して決めて、ラッシュフォードはポストに当てて外す。4人目、ベルナルデスキはど真ん中に決め、サンチョはドンナルンマが止める。そして5人目、ジョルジーニョのキックはピックフォードが読んで弾く。しかし5人目のサカもドンナルンマが止めてしまい、とうとう決着。イタリアが13大会ぶり2度目の優勝を飾った。
サウスゲート監督がラッシュフォードとサンチョを投入したのは、おそらくデータ的にPKの成功率が高いという事で選んだのだと思うが、投入してからわずか2分でボールもろくに触れず、いきなり決勝のPK戦を任されるのはさすがに酷だったのではないだろうか。5人目のキッカーが19歳のサカだった事を含め、今後の波紋を呼びそうである。