「雨と隘路で落車リタイア頻発の地獄、そして5年ぶり復活勝利の奇跡の明暗」ツール・ド・フランス2021 第3・4ステージ

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アップダウンが続いての登りゴールだった2ステージまでとは打って変わって、2日連続しての平坦ステージになった第3・4ステージだったが、選手にとっては天国と地獄の両極端な2日間になってしまった。

まず第3ステージは、ブルターニュ特有の海風と悪天候で序盤から落車が頻発、調子の上がらないゲラント・トーマスがまた巻き込まれる不運。ここでユンボ・ウィズマのヘーシンクがリタイアしてしまう。

そしてゴール20kmを切ってからは狭い道路と細かいアップダウンが続き、10km地点では集団からサイドに押し出されたログリッチが落車、アシストが懸命にログリッチを引っ張ったがペースが上がった集団に追いつけず。

さらに5km地点ではポガチャルやヘイグが落車し、総合6位だったヘイグまでもがリタイア。40人ほどに減ってしまった集団では、マイヨ・ジョーヌのファンデルプールが集団を引っ張りペースアップ。

最後はスプリンターによるゴールスプリントが始まると、前の選手の後輪に前輪を引っ掛けてしまいユアンが落車、これにペーター・サガンが巻き込まれ、ユアンは鎖骨が4つになる骨折でリタイア。

混乱の中で勝ったのはメルリールで、ポガチャルは26秒、ログリッチは結局1分21秒遅れでゴール、リベンジを誓うログリッチにとっては厳しい結果になってしまった。

翌日の第4ステージは、前日のコース設定に対して選手が抗議、アクチュアルスタートが始まってもしばらくパレードランを続けてからスタートする波乱の幕開け。

しかし前日とは打って変わって晴れた天候と広い道幅で、大きなトラブル無くレースが進行。残り14km地点で逃げていた2人のうちファンムールがアタック、1分の差をキープしつつ残り6km。

メイン集団を引っ張るトレインが無く、もしかすると逃げ切りかと思われたが、ラスト150mのところでファンムールを追い越すと、最後はカヴェンディッシュが切れ味鋭いスパートを決めて先頭でゴール。

5年前までは向かうところ敵なしで勝ちまくっていたが、伝染性単核球症とうつ病を患い完全に終わった選手と見られていた。しかし今年、同じチームのサム・ベネットが怪我で欠場したベルギーのレースに代役として出場、そこで勝利を収めたために回って来たツールの出場権だった。

ゴール後、カヴェンディッシュは人目をはばかる事無く号泣、引退してもおかしくなかった境遇から奇跡の復活という明るい話題で終える大団円のステージとなった。

さて今日の第5ステージは、序盤の山場となる個人タイムトライアル。落車のダメージが残っている選手が多い中、誰が総合争いで抜け出すかは読めない展開になっている。マイヨ・ジョーヌマジックでファンデルプールが首位をキープするのか、アラフィリップが2年前の激走を再現するのか、注目が集まるステージである。

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