まだ前半戦ではあるが、両チームの差は勝ち点3で、名古屋が勝てば首位の川崎に勝ち点で並ぶ大一番。川崎はいつもの4-1-2-3のフォーメーションで、3トップはレアンドロ・ダミアン、三苫、家長の並び。新型コロナウイルス感染疑いのためフィッカデンティ監督が欠場した名古屋は、柿谷がトップ下に入った4-4-1-1の形。
名古屋の狙いは、守備時には4-4-2のコンパクトな3ラインディフェンスを敷いてカウンターだったのかもしれないが、前線で激しくポジションチェンジをする川崎に対して、誰が誰に付いて行くのかが全く整理できず混乱していた。
そうなると、当然オフサイドを意識したラインなど作れるはずもなく、混乱したままとにかく手近な選手へマークで付いて行くのでラインがズルズルと下がってしまい、簡単にPA内まで川崎の選手に侵入を許してしまっていた。
しかも、何となくゾーンを作るだけの守備であったため、川崎のゲームメイクを担うシミッチがゾーンの間で浮いた状態になり、結果的に自由なプレイをさせてしまった。本来であれば山崎や柿谷がシミッチをチェックするべきなのだが、彼らは横並びでDFはチェックするがシミッチは何故かフリーパス。
ボールを奪っても、名古屋は前線の選手と守備陣の連携が取れていないので、適当に前へボールを蹴るしか無くなり、川崎がやすやすとセカンドボールを支配、守備陣形を整える前に二次攻撃を仕掛けられ、終始バタバタした対応で序盤に2失点。しかもセットプレイでも負けてしまってはどうしようも無かった。
前半30分に、名古屋はフォーメーションを4-1-4-1に変更、1トップの柿谷を明確にシミッチマークにして、米本をアンカーに置いてゲームメイクに専念させた事で、ようやく試合を落ち着かせる事が出来たが時既に遅し。
後半8分にカウンターからマテウスのパスに柿谷が抜け出しシュートもGKチョン・ソンリョンがファインセーブ。しかし後半も名古屋は川崎に対してラインを上げきれず、やはりチャンスを量産されてしまう。最後は後半40分に左サイド45度から遠野にミドルを決められ万事休す。そのまま0-4で試合終了。
川崎のようなチームに対しては、確かにゾーンディフェンスは1つの有力な解ではあるのだが、アトレティコ・マドリー並みに戦術が統率されていなければならず、人が並んでいるだけで実効性が無いまさに”なんちゃってゾーンディフェンス”ではさすがに厳しい。
フィッカデンティ監督もそれなりに準備はしていたのだろうが、いざ試合となるとあっさり崩壊してしまったというところか。ピッチサイドにいれば修正は出来たのかもしれず、その点でも悔やまれる欠場だった。