広島県リーグ1部から出場して天皇杯準々決勝へ進出した福山シティFCと、J3を圧倒的な強さで勝ち上がって来期は初のJ2進出が決まっているブラウブリッツ秋田という注目の対戦。ブラウブリッツ秋田のフォーメーションは4-4-2で、福山は4-1-4-1の形。
試合は、前線にロングボールを放り込んでセカンドボールを拾う、キックアンドラッシュと言うべき秋田のサッカーが福山を圧倒、前半13分までに6本のシュートを浴びせ、福山も何とか耐えてはいたのだが、前半14分に相手のパスミスを茂平が拾ってシュート、一度はポストに当たったがこぼれ球を押し込み秋田が先制する。
これで秋田がプレスの位置を下げたのもあって、福山がボールを繋ぐ時間帯が続き、21分には初シュート。39分にはPAすぐ外やや左からFK、これ自体は決められなかったが、そこからの流れで最後は吉井がシュート、秋田GK田中の手に当たってこぼれたボールを吉井自身が蹴り込み同点。
しかし秋田もすぐさまキックアンドラッシュを復活させ、前半ロスタイムにCKを得ると、江口のキックをハン・ホガンがニアでそらし、ファーでフリーになっていた久富が押し込み追加点。
後半になると、秋田が前半と同様にペースを上げて試合に入るが、福山は5分にカウンターから高橋がシュートというチャンスを作る。しかし後半19分、得点を決めた吉井がファールを受けて倒れた際に肩を脱臼、負傷交代してしまう。
その後は福山が圧倒的にボールを支配、秋田が自陣にブロックを作ってカウンター狙いという展開が続く。福山は38分にCKからフリーでヘッドもわずかに枠外。
すると後半43分、秋田がカウンターの場面で北脇が抜け出したところでファールを受け、ゴール前20mの地点から江口が蹴ったキックはコースが甘かったが福山GK平田が逆に動いてしまいゴール。後半6分間のロスタイムも結局試合は動かず3-1で終了、秋田が川崎フロンターレとの準決勝へと駒を進めた。
福山シティFCの小谷野監督は、北陸大学を卒業したばかりの弱冠22歳、それでこれだけ完成度の高いポゼッションサッカーを作り出す手腕は、まるで日本のナーゲルスマンとも言える。広島県1部リーグで優勝しながらもコロナの影響で社会人リーグへの昇格が見送られてしまったのは残念だが、是非ともJリーグで見てみたいクラブである。