ペップ・グアルディオラ監督就任1年目のバルサが、リーガ・エスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの史上初3冠を取ったシーズン。残り5試合で首位に立つバルサと、勝ち点4差で2位のレアルが対決する天王山。
フォーメーションは、ペップ・バルサの代名詞だった4-3-3で、3トップがアンリ、メッシ、エトー、インサイドハーフにシャビとイニエスタが並ぶ形。対する、ファンデ・ラモス監督率いるレアルはイグアインとラウルの2トップに、右SHにロッベンが入った4-4-2。
試合はバルサがボールを支配する流れで始まるも、前半14分に右サイドからセルヒオ・ラモスのクロスをフリーのイグアインが頭で決め、レアルが主導権を握ったかに見えた。が、ここからペップがバルサに持ち込んだ戦術革命が猛威を発揮する。
3トップの中央にいるメッシはいわゆる「偽9番」で、頻繁に中盤へ下がってボールの基点となり、アンリ、エトーの両ウイングにメッシ、シャビ、イニエスタと3人の天才から自由にボールが配給され、レアルは全く無防備状態になってしまう。
まずメッシからアンリへのスルーパスからシュートを流し込み同点にすると、その直後にプジョルがヘディングを決めて逆転。レアルもロッベンにボールを集めてサイドから切り崩すが、バルサも今度はメッシに代わってシャビがバイタルに侵入、レアルの守備はさらに混乱してバルサがやりたい放題、レアルは何とかカシージャスのセーブで耐えるのみ。
そしてとうとう前半35分に、ディアッラのキープしたボールをシャビが奪い、最後はメッシが流し込み3点目。レアルも後半11分、ロッベンの強烈なFKからセルヒオ・ラモスが頭でコースを変えて1点差に詰める意地を見せるが、2分後にフリーになったシャビからアンリにスルーパス、飛び出したカシージャスを難なく交わして4点目。
ここでレアルはマルセロを下げてフンテラールを投入、ロングボールを集めて打開を図るが、むしろそれで中盤が間延びしてシャビとイニエスタが余裕でゲームメイク出来るようになり、30分にメッシが3人に囲まれたシャビからのパスから抜け出し5点目、38分にはカウンターからエトーが抜け出し折返しをピケが押し込みとうとう6点目。
サンチャゴ・ベルナベウからレアルサポーターがぞろぞろ帰る中、結局スコアは2-6で試合終了。レアルはホームでの記録的な大敗でリーグ3連覇の望みを絶たれ、チャンピオンズリーグもベスト16で破れてしまい、無冠に終わった。
ポジショニングの徹底とハイプレスで高い位置でのボール奪取、攻撃では相手ゾーンの間に選手が入り込んでパスを受け、トライアングルを作って守備を中へ引きつけ、一気にワイドに展開して中で仕留めるという、ペップ・グアルディオラ監督の戦術革命が見事なまでに輝いたメモリアルな試合だった。