今年の高校サッカー選手権・決勝のカードは、ディフェンディングチャンピオンの青森山田に伝統の静岡県勢、静岡学園が挑む形になった。フォーメーションは、青森山田がいつもの4-2-3-1で、静岡学園は4-1-4-1でマッチアップする形でスタート。
青森山田はこれまで通り、ボールを早めに前線に入れてセカンドボールを拾う形を狙うのだが、静岡学園は各選手のテクニックが高く、上手く個人でプレッシャーを交わしてボールを繋いで来るため、試合は互角の展開が続く。
が、前半11分に青森山田の強みであるセットプレイが炸裂、古宿のFKから藤原が頭で流し込み先制点をゲット。さらに31分、静岡学園のミスから武田が飛び出し、静岡学園GK野知が倒してしまいPK、これを武田自身が決めて2点目。
これで今年も青森山田で決まりかと思われたのだが、ここから静岡学園が一気にボールポゼッションで優位に立つと、ロスタイムに井堀のFKからこぼれ球をDF中谷がGK佐藤の手に当たりながらのシュートをねじ込み、1点差に詰めて前半を折り返す。
後半になると、突然青森山田のDFラインが上げられなくなり、前線からのプレスと連動せずに中盤にスペースが空いてしまい、静岡学園がパスを繋いで試合のペースを握る。12分には青森山田もセットプレイからチャンスを作るがゴールライン上でクリアされる。
そして後半16分、左サイドからパスを受けた加納がターンからゴールポストギリギリを通す見事なゴールを決めて静岡学園が同点に追いつく。その後は青森山田が徐々に盛り返し、後半35分過ぎには再びペースを握り返す。
しかし後半40分、カウンターからの流れから静岡学園がPAの左横からFKを獲得、井掘のキックにファーへ飛び込んだ中谷が頭で押し込み静岡学園がとうとう逆転。
青森山田はデラップばりの鈴木のロングスローでチャンスを作るがGK野知ががっちりキャッチ、3分のロスタイムは静岡学園が必死の時間稼ぎで粘って試合終了。静岡県勢としては実に24年ぶり、静岡学園単独としては初めての優勝を飾った。
前半のうちに青森山田が2点をリードした時には、後半は静岡学園が前がかりになって青森山田のカウンターで大差が付くんじゃないかと思ったが、前半終了間際に1点差になった事でハーフタイムを挟んで戦況がガラッと変わってしまった。
やはり準決勝から中1日という事で、プレッシングが命だった青森山田の足が後半に止まったしまった事も大きかった。もちろん、スペースを生かして守備を掻い潜った静岡学園の技術は見事で、単に上手いだけじゃなくてちゃんと次の展開を考えてボディシェイプやトラップを工夫したプレイをしていたのが現代風に洗練されていた。
日本代表の監督はいろいろ絶望的だが、ユース年代の組織・個人戦術は明らかに平均レベルが向上しており、トップがダメでも日本のサッカーは着実に成長しているんだと少し安心させられた大会だったね。