「5ヶ月ぶりのリーグ先発となった柴崎、地味で泥臭い選手に驚きの変貌?」スペイン・リーガエスパニョーラ第16節 ヘタフェ-レアル・ソシエダ

昨日は、実にリーグの初戦、レアル・マドリー戦以来5ヶ月ぶりの先発となった柴崎が出場した、ヘタフェ対レアル・ソシエダの試合を観戦。柴崎は4-4-2の左SHのポジションで、2トップはアンヘルとモリーナという組み合わせ。

まず前半3分に、カウンターから柴崎がDFラインの裏へ飛び出し、スルーパスは相手に引っかかったが、柴崎はそれに体を投げ出しシュート、ボールはソシエダGKモヤの体でセーブされたが、こぼれ球をモリーナがダイレクトで押し込みヘタフェが先制する。

その後のヘタフェは、相手のボールがディフェンシブサードにあれば高い位置からプレスをかけに行き、ミドルサードに来たら自陣にスッと下がって4-4-2のコンパクトな3ラインを作る守備で、柴崎もウロチョロせずにきっちりとゾーン・ディフェンスにおける自分のタスクをこなしている。

ソシエダは65%というスタッツが示すように試合の多くを支配、マイボール時には2-4-4の形で前線に4人が張り出し、ヘタフェの4バックとマッチアップした状態で、SBが大外をオーバーラップするというゾーンディフェンス攻略の定番で攻め立てる。

特にヘタフェは右SBエルナンデスのスピードに乗ったドリブルに手を焼き、何度も大外からクロスを上げられ、危ないシーンを作られてしまう。ヘタフェも前半15分に、FKからジェネが反転シュートもクロスバー。30分、柴崎がクリアボールをダイレクトでシュートもヒットせずと、何とか見せ場は作る。

後半からソシエダは、前線のホセやオヤルサバルがボールを受けに下がり、そのスペースに中盤の選手が攻撃参加、ヘタフェの守備を撹乱して何度も決定的なシュートを放つ。たまらずヘタフェは、2トップのアンヘルを左SHに下げ、柴崎をトップ下にした4-2-3-1にシフト、中盤を厚くしてバイタルのスペースを潰しにかかる。

しかし柴崎は後半23分にポルティージョと交代、後半30分を過ぎるとソシエダの勢いが落ち始めて試合は膠着状態に。ロスタイムの3分もヘタフェがしっかり守りきり、結局前半3分に挙げた得点が決勝点となって1-0で試合終了。これでヘタフェは7位にまで順位を上昇させた。

柴崎は、以前よりも体格がガッシリした印象で、あまりボールに触る回数自体は多くなかったが、得点に繋がった積極的な飛び出し、相手SBを背負いながらのボールキープなど、得意技である「人を使うプレイ」は封印し、戦術の約束事を守り「人に使われるプレイ」を献身的にこなしていた。アピールする、というレベルまでは行かなかったが、柴崎個人としては確実にプレイの幅は広がっているように思う。

これが香川のようなナチュラルボーンな選手だったら、体重が重くなってプレイの切れが無くなり、戦術に頭が行き過ぎてアイデアが鈍くなると危惧するところだが、柴崎については全く心配していない(笑)。鬱憤は多少溜まっているだろうが、アジアカップで思う存分発散して欲しいね。