「安部が第2の中島翔哉として欧州からロックオン」クラブW杯 準々決勝 鹿島アントラーズ-グアダラハラ

UAEで行われるクラブW杯に、アジア王者として出場している鹿島アントラーズは、初戦が北中米カリブ海王者であるグアダラハラとの準々決勝。

ここに来て怪我人が続出している鹿島は、DFが山本脩斗、昌子、チョンスンヒョン、内田、MFがレアンドロ、永木、レオ・シルバ、遠藤、FWが土居とセルジーニョという4-4-2がスタメン。対するグアダラハラも4-4-2のマッチアップ。

いきなり前半3分、右サイドを山本脩斗が1対1でぶち抜かれ、カバーに入った昌子が中途半端な対応で裏を取られ、完全に数的不利になったところにクロスからサルディバルにヘディングを決められあっさり失点。

その後は少し鹿島も落ち着きを取り戻すも、2トップの土居とセルジーニョになかなかボールが収まらず、前線でのミスを拾われてはグアダラハラに何度もカウンターを浴びる厳しい時間帯が続く。

グアダラハラは相当に鹿島を研究して来たようで、フォーメーション的には4-4-2で鹿島と同じ形なのだが、ビルドアップ時には4-3-1-2や4-3-2-1のようにボランチが縦関係になり、鹿島のダブルボランチが動いたスペースに入り込んでボールを受けるので、鹿島の対応は後手に回らざるを得ない。

前半39分にはセットプレイから至近距離のシュートを撃たれるが、鹿島GKクォン・スンテがかろうじて防いだものの、さらに前半の45分にも、クォン・スンテのクリアを拾って最後はサルシドがシュートもクロスバーに当たってゴールならず。

後半から鹿島はレアンドロに代えて安部を投入、すると早速4分にセルジーニョのキープからパスを受けた土居が左サイドを抜け出し、折返しを永木が決めて鹿島がワンチャンスで同点に追いつく。

安部はDFラインまで下がっての守備を厭わない上に、年齢と身長に見合わないキープ力を持ち合わせ、鹿島の左サイドに安定をもたらす。すると後半23分、右サイドからのパスを受けた土居がPA内で前を向いたところで倒され鹿島にPK、これをセルジーニョが決めて鹿島が逆転する。

さらに39分、鹿島はカウンターから安西のリターンをもらった安部が、PA左の位置からゴール右隅に巻いて入るゴラッソなシュートを決めて鹿島が3点目、これでさすがに勝負は決まったかなと思われた。

ところが、後半ロスタイムに入ってもグアダラハラは諦めず、至近距離からのヘッドをクォン・スンテが何とか止めたものの、4分にはPA内で前を向いたペレイラを山本脩斗が引っ掛けてしまい、VARの判定によってPK。セレージョのキックはクォン・スンテが止めたがこぼれ球を押し込まれ1点差。

最後にグアダラハラのGKも出て来たCKでも鹿島は何とか守りきり、結局試合は3-2で終了。鹿島が苦しみながらも北中米カリブ海王者のグアダラハラを破り、レアル・マドリーとの準々決勝へと駒を進めた。

試合の序盤で守備をズタズタにされて失点した時にはどうなるかと思ったんだけど、クォン・スンテのファインセーブ連発で何とか耐えながらワンチャンスをものにして、一縷の望みをつないでからひっくり返した格好で、これではレアルにリベンジとかカッコいい事はとても言えない。しっかり反省だ。

そしてクォン・スンテに続いて試合をひっくり返す要因になった安部。間違いなく、欧州のチームから第2の中島翔哉だと認識された事だろう。年齢的にもまだ19歳で、さらに市場価値が上がる可能性が高い。来年の夏には鹿島から去ってしまいそうだね。