「鎌田からスイッチが入って冨安がサポート、そして遠藤が弾かれる(?)シント・トロイデンのメカニズム」ベルギー・ジュピラー・プロリーグ第20節 シント・トロイデン-スタンダール・リエージュ

現在リーグ戦で5位とプレーオフ1圏内にガッチリ食い込んでいるシント・トロイデンは、7位で勝ち点4差のスタンダール・リエージュとホームで対戦。

シント・トロイデンのスタメンは、出場停止のボリが戻って鎌田と2トップの3-1-4-2、残念ながらまた遠藤がベンチスタートとなった。対するスタンダール・リエージュは3-4-1-2のフォーメーション。

いきなり試合開始2分に、中盤の高い位置でボールを奪った冨安からボリにスルーパス、折返しを鎌田がゴールと思ったがオフサイド。

しかしプレーオフに向けて勝利が必要なスタンダール・リエージュは、アウェイながらも高い位置からプレスを仕掛け、2トップで基点を作って中盤がガンガン攻撃参加をする攻撃で攻め立てる。冨安には巨漢FWのウラレがマッチアップするが、決してデュエルで負けていない。

シント・トロイデンも、前半20分頃から鎌田が中盤に降りてボールを受け、周りが連動してパスコースを作り、コンビネーションで崩す攻撃が機能し始め、ボリがGKと1対1になる場面を作るなど何度かチャンスはあったがモノに出来ない。

その後はどちらも中盤がやや間延びしてオープンな攻め合いになり、サイドの攻防で優位に立つスタンダール・リエージュのほうがチャンスを多く作るがやっぱり決まらない。

すると前半ロスタイム、バイタルで横パスを受けた鎌田がトラップでマークを置き去りにすると、そのまま細かいドリブルで飛び出したGKも交わし先制ゴールを決めてしまう。

後半はさらにリエージュがサイドで圧力を強め、シント・トロイデンはデノーレが左サイドで数的優位を作られてのドリブルであっさり割られるシーンが多く、冨安も前後左右にポジションを振り回されるシーンが続く。そして14分、鎌田のパスをカットされてからのカウンターで、最後はラインギリギリを抜け出したウラレにGKを交わしてのゴールを決められ同点。

後半25分を過ぎると中盤にかなりスペースが生まれるようになり、どちらもゴール前までボールを持って行くシーンが増え、シント・トロイデンもPA内に攻め込む場面を何度か作るが、ロシアW杯でも活躍したメキシコ代表GKオチョアを中心とした粘り強い対応に阻まれる。

シント・トロイデンは後半43分にボリを下げてセバージョスを投入、鎌田とベズスの3トップにして勝ち越しを狙うが、そのままスコアは最後まで動かず試合終了。今節はアントワープ以外は上位チームの勝ち点が伸びず、シント・トロイデンは勝ち点31で5位をキープしている。

鎌田はほとんど中盤の選手だったけど、あえて前線からポストに降りる事でマークを外し、それでできたスペースをベズスやデ・サールが使って流動的に攻撃参加する連動性に繋がっている。そして、その連動で中盤にスペースができやすい事については、冨安が高い位置から相手に当たりに行くプレイでサポートしている。なかなか難しいバランスだが、今のところは上手くメカニズムが機能しているように見える。

ただここに遠藤を入れるとなるとなかなか難しい。遠藤は自ら率先して動くタイプなので、鎌田やボリがスイッチを入れる現在の順序を逸脱してしまう。やはりチーム戦術を理解して周りに合わせた動きやプレイが出来るようにならないと、なかなか先発に復帰するのは難しいのではないだろうか。