「低調な予定調和の中で、とうとう見つけ出した長谷部の後継者?」キリン・チャレンジカップ 日本-キルギス

ベネズエラ戦の後を受けたキリンチャレンジカップのキルギス戦。先発メンバーは予想通りの総とっかえ。GKが権田、DFが山中、槙野、三浦、室屋、ボランチは守田と三竿、2列目が原口、北川、伊東純也、1トップが杉本の4-2-3-1。

まず試合開始わずか2分でスコアが動く。日本は自陣からボールを繋ぎ、北川のパスを杉本が繋ぎ、左をオーバーラップして来た山中がファーに狙いすましたミドルシュートを決めて先制点をゲットする。

点を失ったキルギスは前に・・・と言いたいところだが、5-4-1の形で自陣に分厚いゾーンを引いて守り倒す姿勢は変わらない。が、19分に原口がドリブルを倒されて得たFKを自らが蹴り、コースは甘かったがキルギスGKが手で止めに行って後逸、日本がラッキーな形で2点目を決める。

日本は、マイボール時に両SBが上がってSHが中に絞った2-4-3-1のような形で攻撃するのだが、パスを回してもフリーになる選手が生まれず、原口のようにドリブルでマークを剥がそうとするプレイも少なく、ボール支配率の割にチャンスの数が少ない。

その後は、25分に杉本の落としから伊東純也のシュートや、31分に今度は伊東のクロスから杉本のヘッドなど単発的なシュートチャンスが訪れるものの、枠を捉えられなかったりGK正面だったりして追加点は生まれず、前半を終了する。

後半も単発で杉本のヘディングなどシュートの場面はあったが、試合のペースは変わらないまま後半14分、日本は杉本、伊東純也、三竿、槙野に代えて、大迫、堂安、柴崎、吉田を一気に投入する。

これによって最も変化があったのは、日本の攻撃に中央から強引に攻める形が増えた事である。杉本もベネズエラ戦からするとポストプレイの意識を持つようになっていて、何とかワンタッチで味方に渡そうという狙いは見せていたものの、大迫や堂安は奪われる事を全く恐れていないという点で、杉本とはプレイの次元が異なっていた。

そして後半27分、柴崎のパスはカットされたが、そこから守田が中央へ縦パス、北川の繋ぎを予測していた大迫がゴールに流し込み3点目、そしてその直後に交代で入った中島が、堂安のパスからダイレクトで決めてあっという間の4点目。後半ロスタイムにはロングボールのこぼれ球を南野が拾ってシュートも枠に飛ばせず、結局試合は4-0で試合終了。

試合前の展望で、森保ジャパンの最大公約数サッカーを打ち破るような何かを、と書いたけどやっぱり予定調和は避けられなかったのが正直なところ。前半の国内組は、何とか狭いスペースの中で自分ができる事をしようと頑張っていたが、後半の4人と同じ事をしたところでレベル差を見せつけられるだけであり、彼らと異なる価値観を見せないとテストマッチの意味が無い。

とは言え、収穫もゼロでは無かった。山中はやはり守備は課題が多々あるものの、攻撃力のある左利きという点で貴重だし、北川もアシストという結果を出し、三浦、三竿、室屋もまずまずアジアカップへのメンバー入りに値するプレイを見せていた。権田は・・・あまりにもヒマ過ぎたね(笑)。

そしてキルギス戦で最も際立っていたのが守田。川崎の試合でもシンプルに球離れの良いプレイをしていてオッと思わされたのだが、代表でも物怖じしない堂々としたプレイでバランサーとしての良さを発揮。長谷部の後継者としては、猟犬タイプの遠藤よりもふさわしい存在ではなかろうか。キルギスが弱すぎただけに、是非とも強い相手で試してみたい選手である。