「バイエルンに移籍して7年、宇佐美はようやくポジショニングの概念を理解し始めたのかも」ドイツ・ブンデスリーガ第11節 デュッセルドルフ-ヘルタ・ベルリン

前節のボルシアMG戦に続いて先発起用され、今期初得点を挙げた宇佐美のプレイを見るため、昨日はデュッセルドルフ対ヘルタ・ベルリンの試合を観戦。

現在はリーグ17位と、シュツットガルトと並んで自動降格圏に沈んでいるデュッセルドルフは、ヘニングスとルケバキオの2トップに、宇佐美が左SHに入った4-4-2のフォーメーション。ヘルタの方は、イビシェビッチを1トップに配した4-2-3-1の形。

まずデュッセルドルフで気になったのは、守備時には宇佐美が他のMF3人よりも低い位置にいて、ほぼSBと同じ高さで守備をしていた。が、それは対面の右SBラザロがタッチライン際に張っていたため、そこへのパスコースを消すように宇佐美がポジションを取っていたわけで、ちゃんとチームとしての戦術的な狙いが宇佐美にも共有されている事が分かる。

そしてボールを奪うと、さすがにその位置からはカウンターで最前線へ飛び出す事は出来ないが、サボらず後からしっかり上がって、味方の攻撃をサポートする位置に入ってボールを繋ぎ、そこから再びゴール前に顔を出すといったように、まずチームとしての戦術的なポジショニングをこなしながら、機を見て得点チャンスに参加する流れが出来つつあった。

これが以前の宇佐美であれば、高い位置でボールをクレクレしているか、低い位置で埋もれて消えているかの2つしか無く、守備はあくまでアリバイでひたすらズルズル下がり、味方がボールを奪っても前へ走ることが無かったのだが、遅ればせながらようやく、チームとして必要な時に必要な場所にいるという、「ポジショニング」の何たるかを理解し始めているのかもしれない。

さて試合のほうは、前半41分にヘルタのミッテルシュタットが2枚目のイエローで退場した事で大きく流れが変わり、44分にはバイタルで完全なフリーになった宇佐美がパスを受けて狙いすました右足シュートはカーブがかからず枠を外れ、そのままスコアレスで前半を終了する。

後半になるどデュッセルドルフが明確に攻撃色を強め、SBが高い位置に上がった2-4-4や2-3-4-1のような形で、完全にヘルタ陣内に選手が入ってアーチ状に相手を囲んだ鳥かごを形成、ヘルタを窒息死させる狙いを見せる。

そしてその引き金を引いたのが宇佐美で、後半5分に左SBギーセルマンがサイドチェンジのパスをダイレクトで落とすと、宇佐美がワントラップから左足でファーへ強烈なシュートを決めてデュッセルドルフが先制する。

その後は勢いに乗ったデュッセルドルフが2点を追加し、ヘルタは後半43分にゼルケが一発のパスから抜け出し1点を返すが、逆に後半ロスタイムに高い位置でボールを奪ったデュッセルドルフが、最後はラストパスを受けたラマンがDFとGKの逆を突くプレイで4点目。そして試合終了。

宇佐美はやっとこさ今期初得点の活躍だったが、ポジショニングは向上していてもプレイの精度自体はまだイマイチ。しかも後半は消えがちだったので、90分間安定したプレイを見せられるようにならないと、クラブでも代表でも先発の座を確かなものにするのは難しいように思う。でも確実にきっかけは掴んでいる。ここが踏ん張りどころだ。